2013年度トルコ調査報告会プログラム
2013年12月22日(日)
- 13:00 挨拶
- 阿部 知之 (中近東文化センター理事長)
- 13:10 アナトリア考古学研究所の活動(2013年)
- 大村 幸弘 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 13:45 第5次ビュクリュカレ発掘調査
- 松村 公仁 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 14:30 第28次カマン・カレホユック発掘調査
- 大村 幸弘 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 15:15 休憩
- 15:30 第5次ヤッスホユック発掘調査
- 大村 正子 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 司会:吉田 大輔 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 16:30 懇親会
2013年アナトリア考古学研究所の活動
アナトリア考古学研究所は、2013年度も3遺跡の発掘調査そして遺跡踏査を中心とする研究活動と共に、考古学フィールドコース、 植物考古学フィールドコース、 博物館学フィールドコース等を開催し、多くのトルコ、欧米、日本の学生を受け入れ、発掘現場に密着した考古学及び関連分野のトレーニングを継続いたしました。また、カマン・カレホユック考古学博物館と協力し、発掘調査で得られた新知見の公開、文化遺産保存の必要性についての啓蒙活動を続けています。
第5次ビュクリュカレ発掘調査
ビュクリュカレは、トルコ最長の川クズルウルマック(赤い河)の西岸に位置する一辺約600mの規模をもつ紀元前二千年紀の都市遺跡です。2009年以来行っている発掘調査では、徐々にこの古代都市の歴史が明らかになってきています。今年度の調査では、一昨年に続きアッシリア商業植民地時代に属する巨石建築遺構の地下室から大量の祭儀用土器群ととともに、金、ラピスラズリ等を用いた大理石製のヒョウの小型頭部像も出土しました。また、新たに確認された火災層の発掘で2枚目の粘土板文書が出土したことから、ようやく探し求めていたヒッタイト時代の層を見つける事が出来たと考えています。
第28次カマン・カレホユック発掘調査
カマン・カレホユック遺跡は、トルコ共和国首都アンカラの南東100キロに位置し、1985年に予備調査、1986年に本格的発掘調査を開始、現在に至っています。第28次発掘調査では、北区でIVa層、そして前期青銅器時代にあたるIVb層の発掘を行いました。また、南区では初期鉄器時代にあたるIId層、中期鉄器時代にあたるIIc層を重点的に発掘調査し、IIc層とIId層の関わりを解明に重点を置きました。
第5次ヤッスホユック発掘調査
ヤッスホユック はカマン・カレホユックから約25km東に位置し、南北500m、東西625m、高さ13mの比較的大きな遺丘です。2009−2012年には遺丘中央部で第Ⅱ層まで掘り下げ、前期青銅器時代末の王宮址の中央プラン(約800㎡)を明らかにしました。この王宮址をさらに広い範囲で確認するため、東西に発掘区を拡げ、今シーズンは第Ⅰ層(鉄器時代)を中心に発掘を行いました。発掘に並行して行ったレーダー探査では、遺丘の北西裾野に『下の町』の存在を示唆する遺構群が検出されました。
クルシェヒル県に於ける遺跡踏査(2013年)
カマン・カレホユック遺跡からはオスマン時代、鉄器時代、中期・後期青銅器時代、そして前期青銅器時代の文化層が確認されています。また、銅石器時代、新石器時代の遺物も確認されています。それらの文化がどのような広がりを持つかを確認することが遺跡踏査の主目的です。2013年度は、昨年に引き続き、クルシェヒル県に焦点を絞り調査を行いました。