2012年度トルコ調査報告会プログラム
2012年12月23日(日)
- 13:00 挨拶
- 阿部 知之 (中近東文化センター理事長)
- 13:10 アナトリア考古学研究所の活動(2012年)
- 大村 幸弘 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 13:40 第4次ビュクリュカレ発掘調査
- 松村 公仁 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 14:20 第27次カマン・カレホユック発掘調査
- 大村 幸弘 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 15:00 休憩
- 15:20 第4次ヤッスホユック発掘調査
- 大村 正子 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 司会:吉田 大輔 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 16:30 懇親会
カマン・カレホユック発掘調査
カマン・カレホユック遺跡は、アンカラの南東約100キロ、アンカラ-カイセリの旧街道側に位置しています。この遺跡の発掘調査は、1986年以来「文化編年の構築」を主目的に継続されてきました。2012年には北区で第IIIc層(アッシリア商業植民地時代)、第IVa層(中間期)に焦点を合わせた編年学的な調査を、南区で第IId層(暗黒時代)、 第IIc層の初期鉄器時代、中期鉄器時代の「集落形態の把握」を目的とした調査を行いました。
第27次カマン・カレホユック発掘調査は、日本学術振興会科学研究費補助金 (基盤研究S)、JKA、住友財団、文化財保護・芸術研究助成財団、真如苑、日本たばこ産業の助成を得て行われました。
ビュクリュカレ発掘調査
ビュクリュカレは、トルコ最長の川クズルウルマック(赤い河)の西岸に位置する東西約600mの規模をもつ紀元前二千年紀の都市遺跡です。1991、2006年に一般調査、2008年に発掘予備調査を行い、2009年より発掘調査を行っています。これまでにヒッタイト帝国時代の粘土板が出土し、都市壁が確認されていますが、昨年度の調査では前期青銅器時代から居住され、現在検出している巨石遺構はそれに続くアッシリア商業植民地時代に属することが明らかになりました。
ヤッスホユック発掘調査
ヤッスホユック (クルシェヒル県チャイアウズ村)は、カマン・カレホユックから東約25kmに位置し、南北500m、東西625m、高さ13m の中央アナトリアでも比較的大きな遺丘です。2007−2008年の予備調査を踏まえ、2009年に本格的発掘調査を開始し、2012年には第4次発掘調査を行いました。第1期(2009−2020年)の発掘調査は、遺丘の頂上中央部において第Ⅱ層の大建築遺構を発掘することを主眼としています。この建築遺構から出土した炭化材は、14C年代測定により紀元前2260−2200年と年代付けられました。出土遺物等からもこの大遺構は、前期青銅器時代末から中期青銅器時代の都市国家の王宮址と推定されます。
クルシェヒル県に於ける考古学的一般調査(2011-2012年)
2011-2012年のクルシェヒル県における考古学的一般調査の目的は、 前期青銅器時代、銅石器時代、新石器時代の文化圏を確認し、カマン・カレホユックと比較検討することでした。カマン・カレホユック遺跡では、前期青銅器時代の層位が確認され、銅石器時代および新石器時代の遺物が出土しています。2011-2012年の一般調査で踏査した遺跡から前期青銅器時代、銅石器時代の土器片等を採集しましたが、新石器時代の遺物を採集することはできませんでした。