2009年度トルコ調査報告会プログラム
2010年4月3日(土)
- 13:00
- 挨拶
- 阿部 知之 (中近東文化センター理事長)
- 13:10
- 第24次カマン・カレホユック発掘調査
- 大村 幸弘 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 14:00
- 第1次ヤッスホユック発掘調査
- 大村 正子 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 14:20
- 第1次ビュクリュカレ発掘調査
- 松村 公仁 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 14:40
- 休憩
- 15:00
- ボアズキョイ/ハットゥシャ遺跡発掘の最新成果―アナトリアの小国から世界帝国へ―
- アンドレアス・シャハナー (イスタンブル・ドイツ考古学研究所)(日本語通訳あり)
- 17:00
- 懇親会
- 総合司会:吉田 大輔 (中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
◆2009年度アナトリア考古学研究所主催の調査
第24次カマン・カレホユック発掘調査
第24次カマン・カレホユック発掘調査は、例年通り、2発掘区—北区、南区で調査を進めた。北区では『文化編年の構築』、南区では『各文化層の集落形態の把握』を目的としている。2009年度の調査では、北区はXXXVI区を中心に、昨年終了時の第I層の建築遺構を取り外した状態から調査を継続した。南区では、鉄器時代第IIc層の文化がその直下に位置する第IId層『暗黒時代』からの影響を受けているか否かを確認するため、昨年からの継続で第IIc層(前8世紀)の建築遺構の発掘調査を行った。
第1次ヤッスホユック発掘調査
ヤッスホユック(クルシェヒル県チャイアウズ村)は、カマン・カレホユックから東約25kmに位置し、南北500m、東西625m、高さ13mのアナトリアでも比較的大きな遺丘である。2007、2008年の予備調査を踏まえ、2009年9月に遺丘の頂上中央部において発掘調査を開始した。この第1次発掘調査では、後期鉄器時代と中期青銅器時代の建築遺構を検出した。特に第4建築層の焼土層中に検出された建築遺構は、2007年の磁気探査で検出した大形建築遺構の一部であることが確認され、紀元前2千年紀前半のアッシリア商業植民地時代に年代付けられ得る。
第1次ビュクリュカレ発掘調査
ビュクリュカレは、トルコ最長の川クズルウルマック(赤い河)の西岸に位置するヒッタイト帝国時代の都市遺跡であり、1991、2006年に一般調査、さらに2008年には発掘予備調査を行った。2009年には第一次発掘調査が行われ、城塞部では前2千年紀後半ヒッタイト帝国時代の城壁が7.5mの高さで残存していることが確認され、さらにこの時期の文化層が大火災で焼失していることも理解された。城下町地域では磁気探査によりヒッタイトの首都ボアズキョイと同じ形態の都市壁と西門を確認することが出来た。その結果一辺約600mの規模を持つヒッタイト帝国の都市の存在が裏付けられた。