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お知らせ
■「ヤッスホユック遺跡の屋根架け始まる」の動画を作成しました
「ヤッスホユック遺跡の屋根架け始まる」の動画を作成しました。(2017年11月11日)
■「三笠宮記念庭園〜秋〜」の動画を作成しました
「三笠宮記念庭園〜秋〜」の動画を作成しました。(2017年10月27日)
■アナトリア考古学研究所の動画を作成しました
アナトリア考古学研究所のイメージ動画を作成しました。(2017年10月6日)
■中近東文化センター講演会のご案内(対面参加者募集)
今年最後の中近東文化センター講演会を12月18日(月)に開催することとなりましたので、ご案内いたします。
当センター附属博物館では、ハンムラビ法典を所蔵するルーブル美術館からレプリカを購入、展示しております。18日は、そのハンムラビ法典(複製)を目の前に、中田一郎先生(中央大学名誉教授,『原典訳 ハンムラビ「法典」』著)と大村幸弘(中近東文化センター)が対談いたします。
今回は対面参加者の募集となります。皆さまのお申し込みをお待ちしております。
- 第2期:中近東文化センター附属博物館の展示案内
- 第2回:2023年12月18日(月)15:30〜16:30(日本時間)
- 中田一郎(中央大学名誉教授、中近東文化センター理事)
- タイトル:『ハンムラビ法典とその現代的意義』
- 当日は『原典訳 ハンムラビ「法典」』の著者中田一郎先生に、当センター附属博物館所蔵ハンムラビ法典(複製)についてお話しいただきます。
- 定 員 :50名
- 場 所 : 中近東文化センター附属博物館 (三鷹市大沢3-10-31)
- ※当日博物館受付にて、入館料をお支払いください。(一般1000円/高・大生500円/65歳以上500円/中学生以下無料)
- アクセス:当館HPをご確認ください
- *ご参加の皆様には、講演会の後に、博物館展示の一部を 大村幸弘 がご案内いたします。
- 【当日対面参加、申込要領】
- *対面参加ご希望の方は、アナトリア考古学研究所
へ電子メールにて、12月15日(金)までにお申し込みください。受付後、メールにてご連絡差し上げます。 - なお、締切日に関わらず定員(50名)になり次第、締め切らせていただきますので、あらかじめご了承ください。
- *申込メールは、件名を「中近東文化センター講演会第2期第2回 : 対面希望」とし、本文に ①氏名 ②所属(一般/学生 , 大学・所属団体等) ③E-MAIL ④電話番号 を入力下さい。(2023年12月08日)
■「中近東文化センター附属博物館の展示案内」
『タイプライターは語る―三笠宮崇仁親王殿下と旧約聖書 その2』が開催されました
9月27日(水)15:30〜、「中近東文化センター附属博物館の展示案内」『タイプライターは語る―三笠宮崇仁親王殿下と旧約聖書 その2』と題し、筑波大学名誉教授で当センター博物館長で図書館長の池田裕先生にお話しいただきました。
現在、当センターでは『三笠宮崇仁親王殿下記念展示』のコーナーにて、殿下ご愛用のヘブライ語タイプライターやお手製の年表などご研究の成果を展示しています。当日は、展示品のヘブライ語タイプライターを目の前に、池田先生より、殿下がなぜヘブライ語に魅かれ古典と現代の両方の重要性にこだわり続けられたのか、そのご研究の姿勢について深くお話しいただきました。
今回からはzoom生配信と同時に、人数を限定してではありますが対面参加も開始しました。11名の方々がお集まりくださり、先生ご自身の留学経験を交えながら、実際に展示品を目の前にしてお話を聴くことで「迫力がありました」とご好評いただきました。
次回の「中近東文化センター附属博物館の展示案内」もzoom生配信と対面参加とのハイブリットで12月に開催の予定です。(2023年10月17日)
■中近東文化センター講演会第3回のご案内
中近東文化センター講演会
第 I 期:三笠宮崇仁親王殿下と古代オリエント史
第3回: 2023年6月23日(金) 15:30〜16:30(日本時間)
池田 裕(中近東文化センター附属三笠宮記念図書館・博物館館長)
「三笠宮崇仁親王殿下と旧約聖書ーそのご研究の姿勢、視点、心」
「陸軍参謀として大陸に赴かれた三笠宮様は、戦後、1947年、意を決し、古代ヘブライ史・旧約聖書研究の道に進むべく東京大学の研究生となり、ヘブライ語やユダヤ思想の研究を開始されたことについて、先回中田一郎先生がお話くださいました。同1947年、宮様は活動を再開したばかりの日本旧約(聖書)学会の会員になられ、旧約聖書に関係する研究を深めるとともに、その成果を次々と発表されました。それらのご研究はいずれも緻密にして明快、しかも今に至るまで少しも色褪せていませんし、テーマや内容もひとり研究者にとってだけではなく、旧約聖書に関心を抱く者であればだれもが議論に参加したくなくなるようなものです。ご研究にあたって宮様が大事にされた視点がありました。その視点とは何であったか。また、それ以上に、学究また人としての宮様の姿勢には一本筋が通っていた(と私は思うのですが)、その筋とは何か、などについてお話させていただければ幸いです。」
参加方法:Zoomライブ配信
※ネット環境が不安定になる場合があります。途中、配信に不具合がおこる可能性もありますので、予めご了承下さいますようお願い申し上げます。
定 員:300名(先着順)
<申込要領>
*アナトリア考古学研究所 ( tokyo@jiaa-kaman.org )へ電子メールにて、6月20日(火)までにお申し込みください。
*申込メールは、件名を「中近東文化センター講演会第3回」とし、本文に ①氏名 ②所属(一般/学生 , 大学・所属団体等) ③E-MAIL ④電話番号 を入力下さい。
*お申し込みを確認後、受付完了のメール(tokyo@jiaa-kaman.org のアドレスより返信)をお送りします。
受付完了メールを以って、参加可能となります。ネット不具合等の場合もありますので、3日経っても当研究所よりメールが届かない場合は、再度メールにてお問い合わせください。(2023年6月15日)
■中近東文化センター講演会第2回のご案内
中近東文化センター講演会
第 I 期:三笠宮崇仁親王殿下と古代オリエント史
第2回: 2023年6月7日(水) 15:30〜16:30(日本時間)
中田一郎(中近東文化センター理事)
「三笠宮崇仁親王殿下とヘブライ語」
「1959年4月に日本オリエント学会主催で現代ヘブライ語講座が、当時学会会長であった三笠宮様の強いご希望で、開設された。三笠宮様は、30歳の時、大本営陸軍参謀として敗戦を迎えられたが、戦後、歴史研究の道に進む決心をされ、キリスト教発祥の地である古代イスラエルの歴史を研究されることになった。当然古代イスラエルの言語で旧約聖書の言語でもあるヘブライ語は殿下にとって必須の言語であった。現代ヘブライ語は、一度死語となったヘブライ語を19世紀後半シオニズム運動が盛んになる中で復活させたもので、現代ヘブライ語の知識は聖書のヘブライ語理解に大いに役立つのである。旧約聖書のヘブライ語学習に現代ヘブライ語学習を利用されたのは、三笠宮様の素晴らしいお考えであった。なお、当日はもっと色々お話しできればと願っている。」
参加方法:Zoomライブ配信
※ネット環境が不安定になる場合があります。途中、配信に不具合がおこる可能性もありますので、予めご了承下さいますようお願い申し上げます。
定 員:300名(先着順)
<申込要領>
*アナトリア考古学研究所 ( tokyo@jiaa-kaman.org )へ電子メールにて、6月2日(金)までにお申し込みください。
*申込メールは、件名を「中近東文化センター講演会第2回」とし、本文に ①氏名 ②所属(一般/学生 , 大学・所属団体等) ③E-MAIL ④電話番号 を入力下さい。
*お申し込みを確認後、受付完了のメール(tokyo@jiaa-kaman.org のアドレスより返信)をお送りします。
受付完了メールを以って、参加可能となります。ネット不具合等の場合もありますので、3日経っても当研究所よりメールが届かない場合は、再度メールにてお問い合わせください。(2023年5月24日)
■中近東文化センター講演会のご案内
1979年に三笠宮崇仁親王殿下が設立された中近東文化センターは、三笠宮記念図書館、博物館、アナトリア考古学研究所を基本として活動を行ってまいりました。これまでの活動を概観しますと、博物館における企画展示、三笠宮記念図書館の文献資料収集、中近東世界でのエジプト、トルコの発掘調査など、日本における古代中近東研究の礎の一部を担ってきたと言っても過言ではないでしょう。
ご存知のように、2019年末からの新型コロナ感染症の世界的流行により、社会活動はあらゆる面において静止状態に陥ってしまいました。中近東文化センターでも博物館、図書館は閉館状態になり、発掘調査も中止や規模の縮小を余儀なくされました。しかし、2023年に入り、世界はその閉塞感から徐々にではありますが解放されつつあります。この様な状況の中で、中近東文化センターも従来の活動を徐々に再開し、その本来の設立趣旨に立ち還り、古代中近東研究に貢献すべくその活動を展開していく所存です。同時にその活動を広く社会に報告していくことも重要であると考えております。ここに中近東文化センターの新たな活動の第一弾として、連続講演会を企画いたしました。
その第I期は「三笠宮崇仁親王殿下とオリエント学」というタイトルの下、下記の通り、彬子女王殿下、中田一郎先生、池田裕先生と大村幸弘が対談する形で、三笠宮崇仁親王殿下がオリエント史を研究なさり、中近東文化センターを設立された背景などを、殿下との思い出を交えながら語って頂きます。
新型コロナウィルス感染症に対してはまだ慎重に対応しなければいけない時期でもあり、第I期は、対談そのものは中近東文化センターにおいて対面で行いますが、皆様にはオンラインでご参加いただきます。(2023年4月6日)
中近東文化センター講演会
第 I 期:三笠宮崇仁親王殿下と古代オリエント史
第1回: 2023年4月17日(月) 15:30〜16:30(日本時間)
彬子女王殿下(中近東文化センター総裁)
『ある皇族の100年―三笠宮崇仁親王殿下とその時代―』(企画展)を振り返って
参加方法:Zoomライブ配信
※ネット環境が不安定になる場合があります。途中、配信に不具合がおこる可能性もありますので、予めご了承下さいますようお願い申し上げます。
定 員:300名(先着順)
<申込要領>
*アナトリア考古学研究所 ( tokyo@jiaa-kaman.org )へ電子メールにて、4月6日(木)〜4月12日(水)にお申し込みください。
*申込メールは、件名を「中近東文化センター講演会」とし、本文に ①氏名 ②所属(一般/学生 , 大学・所属団体等) ③E-MAIL ④電話番号 を入力下さい。
*お申し込みを確認後、受付完了のメール(tokyo@jiaa-kaman.org のアドレスより返信)をお送りします。
受付完了メールを以って、参加可能となります。ネット不具合等の場合もありますので、3日経っても当研究所よりメールが届かない場合は、再度メールにてお問い合わせください。
■<報告会速報 No.3>「トルコ調査報告会」のプログラムを掲載しています
2019年末以来世界を席巻したコロナ禍は、世界中の人々に今まで経験したことのない様々な活動の制限を余儀なくさせ、人々の人生観や世界観の変更までももたらしています。しかし、そのコロナ禍もこのところようやく沈静化しつつあるようです。
(公財)中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所もその活動を中止したり、縮小したりと制限的に行って参りましたが、この度、4年ぶりに対面によるトルコ調査報告会を開催いたします。今回はビュクリュカレ(2019、2021、2022年)、カマン・カレホユック(2019、2022年)、ヤッスホユック(2019、2021、2022年)の発掘調査に関する報告を行います。
また、今回の報告会では、トルコ共和国のエーゲ大学文学部考古学科のエシュレフ・アバイ教授をお招きし、西アナトリアのベイジェスルタン遺跡の調査に関してご講演いただきます。
皆様には是非ご参加いただきたく、ご案内申し上げます。(2023年2月25日)
- 日時:2023年3月17日(金) 12:30- 16:30
- 会場:東京国立博物館平成館大講堂(東京都台東区上野公園13-9)
- 受付:平成館大講堂 1階入口 受付時間12:00より ※西門からお入り下さい(正門からは入場できませんのでご注意ください)
- 参加費:1,000円
▼2022年度トルコ調査報告会プログラム
2023年3月17日(金)
- 12:30 ご挨拶
- 彬子女王殿下(中近東文化センター総裁)
- 12:35 ビュクリュカレ発掘調査
- 松村 公仁
- 13:15 カマン・カレホユック発掘調査
- 大村 幸弘
- 13:55 ヤッスホユック発掘調査
- 大村 正子
- 14:35-14:55 休憩
- 14:55 ベイジェスルタン発掘調査:ヒッタイトの西方、アルザワ国の都市
- エシュレフ・アバイ (エーゲ大学) 通訳有
- 16:25 閉会の辞
- 大村 幸弘 (中近東文化センター理事長)
- 17:15 懇親会
▼お申し込み要領
参加ご希望の方は3月10日(金)までに参加申し込みフォームよりお申し込みください。定員 (350名)になり次第、締切らせて頂きます。
■トルコ・シリア大地震により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます
この度のトルコ南東部を震源とする大地震はトルコ・シリアの両国にたいへんな被害をもたらしました。トルコ・シリア大地震によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された多くの方々に心よりお見舞い申し上げます。また、今も救援活動に従事されているトルコ及び各国の方々の安全と、被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。(2023年2月18日)
*以下に義援金口座を開設している団体(一部)をご紹介させていただきます。
▼トルコ大使館
http://tokyo.be.mfa.gov.tr/Mission/ShowAnnouncement/389495
▼日本・トルコ協会
http://www.tkjts.jp/
■<報告会速報 No.2>「トルコ調査報告会」のご案内
「2022年度トルコ調査報告会」(3月17日) では、カマン・カレホユック、ヤッスホユック、ビュクリュカレの発掘報告とともに、トルコよりエシュレフ・アバイ教授(エーゲ大学)をお招きしベイジェスルタン遺跡の発掘について発表いただきます。プログラム等詳細は今しばらくお待ちください。(2023年1月23日)
■<報告会速報 No.1>「トルコ調査報告会」を対面で開催します
来る3月17日(金)、4年ぶりに「トルコ調査報告会」を対面で開催します。会場は東京国立博物館平成館大講堂です。詳細は決まり次第アップして参ります。お申し込みは2月中旬〜このHP上で開始予定ですので、しばらくお待ちください。(2023年1月5日)
■アナトリア学勉強会アーカイブ
2021年7月から行なっているZoomライブ配信によるアナトリア学勉強会の動画の公開が始まりました。(2022年6月10日)
▼アナトリア学勉強会アーカイブ
http://www.jiaa-kaman.org/jp/seminar-m.html
■日本・トルコ協会「トルコの夕べ」—大村幸弘講演会のご案内(zoomライブ配信)
来る10月27日(水)、日本・トルコ協会主催「トルコの夕べ」にてアナトリア考古学研究所・所長の大村幸弘が講演いたします。当日は、現地カマンにある三笠宮記念庭園とライブでつなぎます。(2021年10月20日)
詳細は下記日本・トルコ協会のホームページよりご確認ください。
http://www.tkjts.jp/turkey_evening/2021/10/14/4039/
日本・トルコ協会「トルコの夕べ」
『持続可能な地域社会を目指して — トルコ 三笠宮記念庭園の国際親善と国際貢献』
講 師:大村幸弘(アナトリア考古学研究所長)
日 時:10月27日(水)18:30〜19:30(zoomライブ配信)
☆お問い合わせ:日本・トルコ協会にお願い致します。
■生環境構築史 Habitat Building History のWebマガジンに 大村幸弘のインタビューが掲載されました(2021年10月5日)
第3号 特集:鉄の惑星・地球
インタビュー:アナトリア−文明と鉄の関係の幕開け
https://hbh.center/03-issue_02/
■三笠宮記念庭園の紅葉
三笠宮記念庭園も、気が付いてみるといつの間にか晩秋を迎えていました。昨年度は、十三万人を超える来園者がありましたが、今シーズンは新型コロナウイルスもあり来園者は五十%減となりました。八月初旬には庭園の西三キロにあるカマンの町にも感染者が出たこともありトルコ人の多くが外出に躊躇したこともあったのかもしれません。ただ、来園者が減少した中でも三笠宮記念庭園の木々の中には、赤、黄色に紅葉し始めたものもあり、風に吹かれてパラパラと舞っているのを見ると、アナトリア高原も晩秋を終え初冬に入るものと思います。(2020年11月21日)
■考古学フィールドコース2021説明会を開催しました
11月10日(火)18時から、武蔵野プレイスにて「考古学フィールドコース2021説明会」を開催しました。「考古学フィールドコース」は大学生及び大学院生を対象に、毎年、トルコのアナトリア考古学研究所で開催しています。座学の他に、実際に発掘現場に入っての作業や遺物を研究し最終日には発表もしてもらいます。2週間という短いコースですが、学生たちは驚くほど成長して帰国します。
来年8月も開催の予定で、そのための説明会に20名近い学生が集まりました。コロナ禍で大学がリモート授業になっている中、生身の人間同士の交流、実際に体感して勉強できる場所が益々必要とされていると思います。(2020年11月15日)
考古学フィールドコース2021説明会
■全国学生連携機構(JASCA)の勉強会で講義しました
10月31日(土)の午後、コロナ禍が広がってからは本当に久し振りに若い人たちを前に講義する機会に恵まれました。全国学生連携機構(JASCA)のメンバーの内、20代の社会人を中心にした勉強会で、実に清々しく、熱意ある若者たちでした。感染対策のため広い会議室でソーシャルディスタンスを保ちながらの講義でしたが、会場には意欲あふれる空気が満ちて、話すこちらも力が入ります。
私が伝えておきたかったことは、何よりも自分の「失敗談」です。若者にはそこから何かを自分で掴み取ってほしいのです。とかく内向きになりがちな昨今ですが、意欲ある若者たちと出会うことが出来、たいへん楽しく有意義な一日でした。(2020年11月14日)
全国学生連携機構(JASCA)の勉強会
■三笠宮記念庭園は新緑の時期を迎えました
4月に満開となったソメイヨシノ、ちょっと趣を殊にするオオシマザクラ、5月初旬までたくさんの花をつけたエゾザクラも終わり、三笠宮記念庭園は目も覚めるばかりの新緑に包まれています。4月下旬の雨の後、松や楓の樹々も青空に向かってぐんぐん伸び始めました。現在、新型コロナウィルス感染予防のため閉園中ですが、庭園では芝生の芝刈りを開始し、同時に池の水を抜き清掃を行なっています。池の鯉たちはみんな元気です。研究所の庭でも3月から4月にかけてアーモンド、アンズ、サクランボ、サワーチェリー、ナシ、リンゴの木々が次々に花を咲かせました。今年も果物が豊作かもしれません。(2020年5月17日)
■三笠宮記念庭園のソメイヨシノは満開です
三笠宮記念庭園(1993年9月13日開園)のソメイヨシノは、先週はじめに満開になりました。庭園のソメイヨシノは、しっかり根付いてはいましたが、ここ数年何処か元気がなく心配をしておりました。庭園を管理して下さっている小山さん(元JICAシニアボランティア)が3年かけて作ってくれた肥料があり、昨年末、ソメイヨシノの根本にそれを施して下さったのが功を奏したのでしょう。今年のソメイヨシノの満開はビックリするほど見事なものでした。また、トルコの林野庁からは、黒松、樅等、2千本、先月中旬に寄贈して貰いました。庭園のある中央アナトリアの植栽は、3月から4月が最適とのこと。三笠宮記念庭園とその周辺に盛んに植栽作業を行なっているところです。現在、トルコも新型コロナウイルスが大流行、三笠宮記念庭園、カマン・カレホユック考古学博物館も閉園、閉館中。ウイルスが1日でも早く終息をし多くの方々に三笠宮記念庭園を是非ご覧に頂ければと思っております。(2020年4月19日)
■「2019年度トルコ調査報告会・第30回トルコ調査研究会」開催延期のお知らせ
令和2年3月25日(水曜日)、26日(木曜日)に開催を予定しておりました「2019年度トルコ調査報告会・第30回トルコ調査研究会」ですが、新型コロナウイルス感染症による状況を踏まえ、開催を延期することと決定いたしました。
新たな開催日程については未定でございますが、決まり次第ホームページでご案内いたします。
ご予定いただいた方には大変申し訳ございませんが、何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。(2020年2月25日)
■公益財団法人JKAのウェブサイト CYCLE-Social Action にアナトリア考古学研究所が紹介されました
今年の夏、アナトリア考古学研究所は公益財団法人JKAの取材を受けました。8月1日〜5日までの間、朝6時からの発掘現場に同行、研究所でのインタビュー、夜遅くまで作業され、たいへん素晴らしい映像を撮影してくださいました。
現在、CYCLE - Social Action「世紀の発見を生むのは、“あたたかい考古学”?」として、公開されています。(2019年11月11日)
※アナトリア考古学研究所は公益財団法人JKA「国際交流の推進活動」補助事業として、補助金の交付を受けています。
■7月12日スコットさんを追悼して記念樹を植えました
昨年亡くなったスコット=キャロルさんを追悼して、くるみの木を研究所の庭に植樹しました。
スコットさんは1992〜1997年、フィールドコンサベーターとしてカマン・カレホユック発掘調査に参加し、フィールドコンサベーションラボの立ち上げや、考古学と保存修復学のコラボレーションに大いに貢献して頂きました。
植樹のアイデアは、やはりフィールドコンサベーターとしてスコットさんと共に数シーズン、カマン・カレホユック発掘調査に参加してくれたマリー=スヴォボダさんの発案です。
この樹の成長と共に、スコットさんは我々の記憶の中に生き続けることでしょう。(2019年7月16日)
■Kaman Conservation Symposium 2019 が行われました
保存修復に関するシンポジウム『Kaman Conservation Symposium 2019』が、2019年7月6日(土)、7日(日)の両日に渡って、当研究所図書館で行われました。発掘調査現場における建築遺構や遺物の保存修復、博物館における収蔵と展示等における技術と現状、トルコの地域ラボの現状、古代建築資材の科学的分析とその保存技術等、多岐にわたる問題が討議されました。また、保存修復の専門家、研究者の間で情報交換も盛んに行われました。
プログラムおよび発表者は下記の通りです。(2019年7月9日)
- İlkay İVGİN
- A New Era in Conservation: Processual Restoration - Conservation
- Brian CASTRIOTA, Sarah MONTONCHAIKUL
- Cultures of Collaboration at Sardis
- Bekir ESKİCİ, Berna ÇAĞLAR ERYURT
- Wall Painting Conservation in Archaeological Sites
- Evren KIVANÇER, Rana ÖZBAL
- How ‘The Evidence Of Past Human Activity’ Was Lifted from its Context - Bursa
- Selcuk SENER
- Architectural remains, conservation problems and solution suggestions in the archeological excavations
- Tuğba DİRİCAN, Ali Akın AKYOL
- Archaeometric Analyses of Kaman Yassihöyük Adobes And Conservation Problems
- Marianne ROCHEBEUF (presented by Alice PATERAKIS)
- Some Trials on Chemical Consolidation of Archaeological Mudbrick Walls
- Latif ÖZEN, AbdUllah ZARARSIZ
- Analysis, Restoration And Conservation of Lydian Metal Artifacts from Uşak Museum (The Treasury of Croesus)
- Bengin BİLİCİ, Uğur GENÇ
- Conservation Practices of Archaeological Metal Finds: Case Studies from Excavation, Museum and Laboratory
- Ian MACLEOD
- Collecting in-situ and laboratory data on corroded metal artefacts
- Alice BOCCIA PATERAKIS
- Preventive Conservation of Small Metal Finds
- Serkan GEDÜK
- Preventıve Conservation Methods for Ceramıc Objects in Exhibitions
■2018年度トルコ調査報告会・第29回トルコ調査研究会が行われました
(公財)中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所は、2019年3月25日(月)、26日(火)に東京・目白の学習院大学・百周年記念講堂で、彬子女王殿下ご臨席のもと、2018年度トルコ調査報告会および第29回トルコ調査研究会を行ないました。
トルコ調査報告会ではアナトリア考古学研究所の活動(2018年)、第10次ビュクリュカレ発掘調査、第33次カマン・カレホユック発掘調査、そして第10次ヤッスホユック発掘調査の報告を行ないました。
2018年度、アナトリア考古学研究所は上記3遺跡の発掘調査を継続すると共に、考古学、植物考古学、および博物館学のフィールドコースを開催し、保存修復学のインターンの受け入れを行いました。調査、フィールドコース、インターンシップでは、日本、トルコ、アメリカ、オーストラリア、イタリア、フランスの学生が参加しました。また、地域の子供達を対象とした考古学教室も、カマン・カレホユック考古学博物館と共催しました。
ビュクリュカレ遺跡では、鉄器時代にかなり破壊を受けたヒッタイト帝国時代の建築遺構、前7世紀頃に年代付けられる後期鉄器時代の城塞を中心に発掘調査が進められたことが報告されました。城塞には石組みの間に設置された丸太列が確認されました。その丸太列は、城塞壁の水平を保つために置かれた可能性があることなど、鉄器時代の城塞の構築方法に新たなる知見が見出されました。
カマン・カレホユック遺跡では、主に前3千年紀後半前期青銅器時代の建築遺構の発掘が行われました。 前期青銅器時代の文化層では、これまでに二つの大きな火災層が確認されていますが、2018年度はこれらの二つの火災層の間に存在する4建築層の精査が行われました。この4建築層の建築遺構の何れもが火災を受けていないこと、壁体は日干し煉瓦に使用される土を積み上げて築かれていること、その壁体の基礎には丸太が使用されていること、柱穴が認められること等、これまでカマン・カレホユックの発掘調査では出土例がない建築形態が確認されたことに関する発表が行なわれました。
ヤッスホユック遺跡では、 前2千年紀前半の「カールム」と呼ばれる商人の居留区の存在を明らかにするため、地中探査の結果を基に遺丘の北裾野の「下の町」の発掘調査を行いました。確認された遺構内から出土した両耳付き尖底杯などの遺物は、キュルテペ・カールム出土の遺物に類似するものです。
トルコ調査研究会では、アナトリア考古学研究所が行なっている3遺跡から出土している遺物などに関する研究成果が発表されました。
第一セクションでは、東京理科大学・中井研究室による土器の産地同定に関する発表がおこなわれました。
午後の第二セクションでは、京都大学の福田勝利氏がヤッスホユックにおいて継続実施している地中探査について、また、鉾井修一氏によるヤッスホユック王宮址(前期青銅器時代)の劣化状況調査についての発表がありました。今後の遺構保存の方向を決めるため必要な調査であったと思われます。
第三セクションでは、ビュクリュカレ出土の豹型頭部像について、その出土状況を松村氏が、そして文献資料を駆使した検証を小板橋又久氏が報告しました。この遺物と一緒に大量の尖底土器が建物の基礎部の同一小部屋から出土していることなどから、これらの建造に関わる儀礼に使われた後、同一カ所に廃棄された可能性が示唆されました。また、同セクションではトルコから岡山大学に留学しているヌルジャン・クチュックアスラン氏が、ヤッスホユックの鉄器時代の土器製作について、製作技術の面からどの時期に変化が認められるかとする興味深い発表を行ないました。また、水田徹氏は、長年、カマン・カレホユック第IIc層出土のアリシャール第IV式鹿文土器を図像様式及び出土層序による製作年代の想定と題する発表を行ないましたが、この研究は今後アナトリアの中期鉄器時代を研究する上で間違いなく一つのメルクマールになるものです。
第四セクションでは、カマン・カレホユック出土の鉄製品に関する発表が増渕麻里耶氏、赤沼英男氏によって行なわれました。増渕氏は、ヒッタイトの鉄とは何かと題して、カマン・カレホユック第IIIa層:ヒッタイト帝国時代の鉄製品の分析結果を報告し、そして赤沼氏からはカマン・カレホユックの前期青銅器時代末には鉄生産が間違いなく行なわれていたとする報告があり注目を集めました。
両日で450名を超す参加者があり、多くの方々に発掘調査や研究の新たな成果や情報に触れて頂きました。2019年度の調査や研究の成果については、 2020年春の報告会、研究会で発表されます。(2019年7月8日)
■退職者の集い
6月15日(土)、長年カマン・カレホユック発掘調査等に携わってくれたチャウルカン村の人々の中で、定年退職し、年金生活をしている人たちを招いて恒例の退職者の集いを開きました。
1985年の調査開始以来これまで調査に関わってくれた村人の中、約40名 が退職、年金生活を送っています。発掘調査だけではなく、トルコ国内外の様々な仕事で年金受給の権利を積み上げて、現在年金生活を送っている人もいますが、カマン・カレホユックの発掘調査だけで年金を受けている人もいます。発掘開始以来、34年ともなると、その数も年々増えていきそうです。
発掘調査開始当初は社会保険制度の未熟さもあり、公務員以外ではあまりありがたみもなく、村人たちの中には保険料を払うかわりに労賃に上乗せしてほしいといってくる人も少なからずありました。しかし、近年はトルコでも社会保険制度が整いつつあり、一般の人々もその恩恵を理解するようになってきました。
この退職者の集いは、研究所のコックのムスタファベイが作ってくれる美味しいケーキやボレッキ(チーズやひき肉、野菜入りのパイ)に舌鼓を打ちながら、懐かしい思い出話や村の近況などに花を咲かせる茶話会です。しかし、高齢の人たちも多く, 一年一年亡くなった方々や病気で動けないという人たちのニュースが多くなることは、寂しい限りです。それでも最高齢87歳のセイフォー・オズトゥルクさんを始め元気な20人余りの人が参加してくれた集いは、懐かしく楽しいものでした。(2019年6月20日)
■越川和彦JICA副理事長ご一行のカマンのアナトリア考古学研究所来訪
1月31日(水)、ビュクリュカレ遺跡の後、カマンの研究所と博物館、そしてカマン・カレホユック遺跡を見学していただきました。当日は雪の予報も出ていた寒い1日でしたが、カマン・カレホユック遺跡北区に残る5千年の文化堆積等、興味深くご覧頂けた様子でした。(2019年2月5日)
越川和彦JICA副理事長ご一行
■カマンは冬景色です
ここ数日アナトリア高原には強い寒波が押し寄せてきたこともあり、研究所のあるカマンも早朝はマイナス10度を超す日々が続いています。12月26日からちらほらと降り始めた雪も、27日には本格化し、カマンもすっかり冬籠りとなりました。3月初旬、木々の芽が膨らみだすのが今から待ち遠しいです。(2019年1月6日)
■アナトリア考古学研究所冬期間の作業
冬期間の雨、雪から遺跡を守るための保護屋根を架ける作業が終了した後に、12月初旬から出土遺物の修復、実測、整理作業が本格化してきました。発掘に従事していたウスタ(親方)、カルファ(親方見習い)、チラック(丁稚)が中心となり作業は進んでいます。今週末から雪との情報もあり、中央アナトリアも本格的真冬にそろそろ入ることになりそうです。(2018年12月22日)
■三笠宮記念庭園は冬に入りました
今シーズンの三笠宮記念庭園は、十万人を超す入園者で賑わいました。庭園は、十一月末に閉園、2019年四月一日に開園する予定です。冬期間閉園と云うことで、看板を新たに作成、庭園の入口に立てました。ただ、それでも天気が良ければ一日百人は訪ねて来ているようでなかなか閉園にはならないようです。(2018年12月22日)
■トヨタモーターマニファクチャリングターキー株式会社から車を寄贈して頂きました
先週初め、トヨタモーターマニファクチャリングターキー株式会社(トルコ、アダパザル)から、三笠宮記念財団に1台車(ヴェルソ)を寄贈して頂きました。頂いたヴェルソは先週末、研究所に届きました。考古学研究所のフィールド作業には勿体ないぐらいの車で、丁寧に使わせて頂こうと思っています。(2018年12月17日)
トヨタモーターマニファクチャリングターキー株式会社より
■11月の来訪者
11月はトルコの文化観光大臣、副大臣やJICAの坂本中近東欧州部長という大事なお客様をお迎えしました。イシュバンカス(労働銀行)広報部主催のツアーでイスタンブルの報道関係者も取材を兼ねた見学に訪れ、その後、いくつかの好意的な報道をしてくれました。
▼Haberturk
https://www.haberturk.com/kirsehir-kaman-da-2-binin-uzerinde-eser-gun-yuzune-cikarildi-2209408
訪問されたどの方々も、博物館の見学、紅葉の日本庭園を楽しまれ、研究所では長年働いてくれているローカルスタッフの土器の復元や実測の技術だけでなく、遺跡の層位を解釈する能力の高さに関心を持たれた様子でした。
11月1日 オメル・アルソイ文化観光副大臣 。
11月2日 イスタンブルの 報道関係者(トルコイシュバンカス広報部主催の見学ツアー)
11月9日 メフメット・ヌリ・エルソイ文化観光大臣。宮島日本国大使、クルシェヒル県知事、カマン郡長のほか、クルシェヒル選出の国会議員も同行されました。
11月10日 JICA 中東欧州部長坂本威午氏、同欧州課久保信也氏が、JICA アンカラの安井所長と共に来訪されました。ODAプロジェクトであったカマン・カレホユック考古学博物館の建設や、カマン町や文化観光省考古局を通して、シニアボランティアの派遣や、日本における地震対策を中心とした文化財保全のための研修へのトルコの博物館員の招聘など、JICAによるトルコの文化行政における協力がここカマンでもよく認識されています。(2018年11月25日)
■カマン胡桃祭り(2018年)
今年もカマンの「胡桃祭り」の時期がやって来ました。10月6日(土)、7日(日)の2日間カマンのメイン通りのアタチュルク通りは朝早くから通行止めになり、近隣の村からたくさんの人々が自分たちで育てた胡桃、アーモンドをはじめ、ひまわりの種、穀類、野菜、葡萄をはじめとする果物等が山積みにされており、日本ではなかなか見られない10キロ以上もある大きな南瓜も並んでいたのには驚きました。冬期間用のものでしょうか、手作りのチーズ、トマトペースト等もいたるところで売られており、カマンもいよいよ冬支度に入っていることを感じさせました。
初日の式典では、トルコの軍楽隊の行進パレード、優秀な胡桃畑ベスト3を発表する授賞式等がありました。そして両日市庁舎前に設けられた舞台では、コンサートも開かれ、夜まで賑わいを見せていました。
初日の式典後、カマン・カレホユック考古学博物館と三笠宮記念庭園にも千人を超す人々が見学に訪れ、終日賑わっていました。(2018年10月09日)
■彬子女王殿下のご来訪
9月10日、彬子女王殿下がアナトリア考古学研究所をご視察になりました。研究所に先立ち、カマン・カレホユック遺跡もご視察になり、前期青銅器時代の発掘区にも下りられ、大変興味をお持ちいただいたご様子でした。研究所では、研究者や現地スタッフの仕事ぶりをご覧いただきました。黒曜石製の石器を研究しているトルコ人のベンギさんに石器の作り方をお尋ねになったり、古代植物の研究をしているローナさんに誘われて顕微鏡下の古代種子を観察されたり、倉庫で土器を広げて調査を続けておられる水田先生からは彩文土器の面白みをお聞きになったご様子でした。その後研究所の食堂で、文化観光副大臣やクルシェヒル県知事、カマン郡長の皆さんと歓談され、三笠宮記念庭園を抜けて、博物館をご視察なさいました。
博物館の入り口では、庭園に来園していた子供たちと親しく写真に収まっておいででした。わずか2時間半の短いご訪問でしたが、明るい朗らかな空気を置いていって下さいました。(2018年9月19日)
■チャタルフユック、ボンジュクルホユック遺跡見学
8月12日(日)に隊員12名でイギリスの調査隊が発掘調査をしているチャタルフユック(本年度からコンヤ考古学博物館)、ボンジュクルホユック遺跡見学に行ってきました。世界遺産に登録されている新石器時代のチャタルフユック遺跡は、今年からこれまで調査をしてきたイギリス隊からトルコへ発掘権が譲渡され調査隊の組織が変わったようです。遺跡の入口を入ったところには以前よりも大きないくつもの長方形の部屋が繋がった復元住居が作られていました。調査が行われている発掘区には、遺跡保存も兼ねた常設の屋根がかけられているのが印象的でした。その見学コースを辿りながらチレル新隊長から説明を受け、さらに、今年出土した遺物も見学させてもらいました。無土器新石器時代のボンジュクルホッユック遺跡では、ダグラス隊長自ら一時間以上に渡って解説頂きました。遺跡にはチャタルフユック同様に復元住居が作られており、アナトリア考古学が観光を目的の一つとして大きくクローズアップされ始めているようです。ボンジュクルホユックの住居は、小規模で円形の住居でした。チャタルホユックの住居が、矩形、長方形のものが多く、円形から矩形等に変遷する過程が、一体どのような背景があったのかなど、色々と考えさせられる一日となりました。最後にコンヤの考古学博物館を見学して帰路につきました。他の調査隊の発掘現場を見学し隊員は大いに刺激を受けたようです。(2018年8月23日)
■「夏の学校」(2018年)
例年、夏に行われているアナトリア考古学研究所、カマン・カレホユック考古学博物館が共同で行なっている地域の子供達を対象とした夏の学校が行われました。今年は参加者が多く30名を超えました。土器作りやモザイク画作りの他、アナトリア考古学研究所の見学、そして現在調査が行われているカマン・カレホユック遺跡では発掘体験をしました。研究所見学では、植物考古学や形質人類学の研究者から直接説明を受け、積極的に質問する姿が見られました。発掘体験では土器片や獣骨などが出てくる度に歓声を上げて、その度に研究者に遺物を見せに来る姿が微笑ましかったです。(2018年8月23日)
■日本からのバスツアー
カマン・カレホユック考古学博物館、三笠宮記念庭園は、連日多くの訪問客で賑わっています。特に三笠宮記念庭園には、断食が終った後の「砂糖祭」の期間には、一日2千人を超す来園者があり、平日でも、500人前後の来園者で大いに賑わっています。先日は日本からのバスツアー客もあり、出会ったトルコ人来園者と一緒に写真撮影をするなど、楽しげな様子でした。(2018年8月7日)
■アナトリアは真夏に入りました
アナトリア高原は七月に入り、一気に気温が上昇。発掘調査を行っているカマンでも、炎天下では40度を超す暑さですが、湿気が少ないこともあり、日本に較べるとしのぎ易いと云えます。研究所の梨は実もたわわで、ここ数年では一番の豊作のようです。 もう2、3週間もすれば食べ頃かもしれません。カマン・カレホユックの周辺の小麦畑では、大型コンバインダーによる収穫が終わり、家畜の飼料になる小麦の茎をかき集める作業に入っています。その後は、禁止にはなっているにも関わらず、小麦畑に火が放たれることでしょう。(2018年8月7日)
■ゴルディオン発掘調査隊来所
7月19日(木)アメリカのゴルディオン発掘調査隊の訪問を受けました。フリュギア王国の首都であるゴルディオンでは1950年代から半世紀を超える発掘調査が続けられ、周辺の数多くのトゥムルス(墳墓)も調査されています。同調査隊からは多くの研究者が輩出されていますが、当日も、トゥムルス研究の第一人者のリチャード博士を始め、アメリカ、ドイツ人研究者とアメリカ、トルコその他各国から集まっている若手隊員22名がアナトリア考古学研究所を訪れ、考古学博物館、カマン・カレホユック、ビュクリュカレ遺跡等を見学しました。我々の遺跡調査を紹介できただけでなく、アナトリア考古学に関するす多くの情報交換を出来たことが何よりでした。特に、カマン・カレホユックの北区では「文化編年」に関する真摯な討論を行うことができました。(2018年8月3日)
■駐トルコ日本大使来所
宮島昭夫駐トルコ全権大使が、7月18日(水)に来所されました。カマン・カレホユック、三笠宮記念庭園、アナトリア考古学研究所、ビュクリュカレ遺跡をご視察。カマン・カレホユックの「文化編年」を構築している北区の最深部まで下りられるなど、短時間ではありましたが発掘調査の成果の一部をご覧頂きました。(2018年8月3日)
■定年退職者のつどい
6月23日、カマン・カレホユックの発掘調査や日本庭園で働いてくれて、定年退職した人々との茶話会をいたしました。 年に一度とはいえ懐かしい面々に会い、思い出話ができるのは嬉しいことです。コックのムスタファ・ベイが準備してくれた美味しいケーキ、ボレッキに舌鼓を打ちながら、われわれが手探りで発掘調査を進めていた頃の懐かしい思い出話や、日本庭園の維持に精進した話など、あっという間に2時間が過ぎました。
来年もまた元気でお会いしたいものです。(2018年7月7日)
■アナトリア高原は初夏に入りました
5月は例年になく雨の多い日が続きましたが、6月に入り日中の気温も30度前後と一気に上昇。アナトリア高原は初夏に入りました。昨年の十月に播種した小麦もここ一週間で黄金色になってきました。今月末からは大型コンバインダーによる刈り入れ始まるものと思います。昼夜を通してコンバインダーの刈り入れする音が高原から聴こえてくるはずです。研究所の庭にある赤、黄色のサクランボ、サワーチェリー、杏、リンゴ、胡桃は正しく実もたわわ、ここ数年で一番の大豊作とのことです。明日は日曜日、サクランボとチェリーサワーの収穫を行う予定です。アナトリア高原の豊かさをしみじみ感じます。(2018年6月9日)
■イスタンブル日本人会来訪(2)
5月26日(土)イスタンブル日本人会の第2グループ(27名)の来訪を受けました。雨模様の1日でしたが、幸いにもビュクルカレ、カマン・カレホユック両遺跡の見学中だけは雨も止んでくれました。現場は少しぬかるんでいましたが、カマン・カレホユックでは12メートル近く掘り込まれている北区に下り、歴史の深さを感じていただけたのではないでしょうか。発掘調査中の現場をご覧頂けなかったのが残念でしたが、博物館、三笠宮記念庭園、 研究所も見学していただきました。(2018年6月2日)
■第40回国際発掘・調査・考古科学シンポジウム
第40回国際発掘、調査、考古科学シンポジウムが、5月7日から11日までチャナッカレの Onsekiz Mart Üniversitesi (3月18日大学)で開かれました。今年は「2018トロイ年」という記念行事がチャナッカレで開催されており、それに合わせてこのシンポジウムがチャナッカレ大学で開かれたとのことです。またこれに合わせて新しいトロイア考古学博物館もオープンする予定だったようですが、6月に行われる選挙の影響で残念ながら延期されたそうです。日本アナトリア考古学研究所からは大村所長、大村正子研究員、そして私の3人が参加し、2016〜2017年にかけて研究所が行った発掘と一般調査報告を発表しました。5月5日、アナトリア考古学研究所で報告会(2017年)を行ってから出発したため、シンポジウム2日目の8日からの参加となりました。
今回のシンポジウムでは、全体的に参加者の発表が以前に比べまとまっているように感じました。以前は発掘調査の報告以外に、考古学パークや遺跡保護の話が頻繁に出てきてしまい、シンポジウムの様相が大分変形してきた感じを受けていました。元来のシンポジウムは研究発表の色合いの濃いものでしたので、最新の研究結果が聞けると期待して参加していましたが、ここ数年は「観光のための発掘」に変容してしまっているようで、少し残念に思っていました。
このような背景には、どうも発掘費の削減があるようです。ここ数年、政情不安の影響でトルコへの観光客が激減しました。トルコの調査隊の発掘費用は各地の博物館入場料等の収入から捻出されているため、その影響をまともに受けてしまったようです。
発掘費の削減で思うように発掘調査が出来なかったためか、今年の発表はこれまでの調査の総括的な報告になったようです。そしてその結果、発表内容が逆にまとまっていてわかりやすくなったように思います。
もう一つ印象的だったのが、大学の施設です。キャンパスも木々に囲まれて落ち着いた雰囲気を持っていたのですが、夕方にパーティーが開かれたのはダーダネルス海峡に面した場所にある大学の広大な施設で、非常に恵まれた羨ましい環境です。この大学は設立25周年で、まだまだ新しい大学ですが、設立当時の国の教育に対する熱意をこんなところから感じられたような気がしました。(松村)(2018年5月19日)
■イスタンブル日本人会来訪
イスタンブル日本人会の方々が、5月に2グループに別れて来訪されることになっています。
5月12日(土)には、第1グループ総勢21名の訪問を受けました。あいにくの雨で遺跡はご覧いただけませんでしたが、博物館の展示や、研究所のラボや収蔵庫、保存されているサンプル、あるいは 発掘の結果を示す遺跡断面図等にも興味をもっていただけたようです。
雨のない天候の良い時期に、是非またお越しいただきたいと存じます。
第2グループは5月26日に来訪されます。(2018年5月16日)
■アナトリア考古学研究所調査報告会
5月5日(土)、チャウルカン村のアナトリア考古学研究所タフシン・オズギュッチ講堂で調査報告会を行いました。この報告会は、地元の人々や近辺の大学生等に、研究所が行っている3遺跡の歴史的意義や、その調査の重要性、発掘調査の様子等を広く知ってもらうことを目的で開催したものです。
カマン郡長、クルシェヒル県文化局長、三笠宮記念財団理事をはじめ、アヒ・エヴラン大学(クルシェヒル)の学生や地元の人々70人余りが参加してくれました。
報告会後の懇親会では、これから考古学を学んでいこうという学生の質問や、地元の人々の素直な疑問等に答えるなど、和やかなひとときを過ごしました。
東京では、1986年以来毎年報告会を行ってきており、またトルコでも発掘関係者の間で行われているシンポジウム等で、調査報告や関連研究の発表を行ってきましたが、研究所で地元の人々を主な対象とした報告会は、今回が初めての試みです。今後毎年開催していく予定です。(2018年5月16日)
■三笠宮記念庭園のクリーニング
アナトリアの冬も終わり、三月初旬にやっとアナトリア高原も春を迎えたと思っていましたが、四月中旬を過ぎたあたりから一気に気温が上昇、初夏を思わせる暑さに見舞われています。地中海沿岸では海水浴が始まったようです。
アナトリア考古学研究所に隣接する三笠宮記念庭園の清掃も、3月下旬から開始しました。先週からは池のクリーニングに取り掛かっていますが、上の池は数日前に清掃が終了、新しく水を入れ始めました。庭園は、四月はクリーニングの時期ですので入園はお断りしているのですが、それにも関わらず一万人を超す来園者で大いに賑わっています。(2018年5月1日)
■アナトリア考古学研究所活動報告会
東京において開催いたしました2017年度トルコ調査報告会・第28回トルコ調査研究会に引き続き、2018年5月5日(土)に現地のアナトリア考古学研究所においても研究所活動報告会を開催する予定です。在トルコ邦人の皆様にもご参加いただけましたら幸いです。(2018年4月14日)
- 日時:2018年5月5日(土)
- 時間:14:00〜17:00
- 場所:アナトリア考古学研究所
- タフシン・オズギュッチ記念講堂
- Çaǧırkan, 40350 Kaman, Kırşehir, Turkey
- Tel: 386-717-6252 Fax: 386-717-6168
- E-mail:kaman@jiaa-kaman.org
■2017年度トルコ調査報告会・第28回トルコ調査研究会が行われました
2017年度トルコ調査報告会・第28回トルコ調査研究会が、3月25日(日)、26日(月)の二日間に渡って学習院大学の「創立百周年記念会館」で行われました。初日には約270名、二日目の研究会は100名を超える参加者がありました。特に初日には彬子女王殿下、トルコ共和国駐日特命全権大使ハサン・ムラット・ メルジャンご夫妻に御臨席いただき、盛況のうちに会を終えることができました。調査報告会後の懇親会にも大勢の方にご出席いただき盛り上がりました。また研究会では活発な質疑応答が行われました。
トルコ調査報告会では、アナトリア考古学研究所の活動(2017年)、ビュクリュカレ第9次発掘調査、カマン・カレホユック第32次発掘調査、ヤッスホユック第9次発掘調査の報告が、それぞれの担当者によって行われました。ビュクリュカレの報告では、中期青銅器時代(カールム時代)からヒッタイト王国成立までの、未解明の時期についての最新の研究成果が解説され、発掘成果、出土遺物を用いてその時期がビュクリュカレ遺跡において存在することを立証しました。ボアズキョイ、キュルテペには存在しない、この時期の文化の発展はビュクリュカレ遺跡においてのみ明らかに出来る可能性があります。
カマン・カレホユックでは、当初から「文化編年の構築」という目的に則って発掘が進められていますが、昨年は北区では第Ⅳ層前期青銅器時代の火災層を追って発掘を進めました。この火災層とインド・ヨーロッパ語族のアナトリアへの侵入との関連性について論じられました。また南区では第Ⅲa層のヒッタイト帝国時代の建築遺構を中心とする調査について報告されました。
ヤッスホユックでは、昨年度は後期鉄器時代の大型遺構の調査が行われました。レーダーによる地中探査結果を加味し、この時代の大型遺構から城門へと続く都市構造が明らかとなってきています。また当時の建築技術に関する新たな知見も得られました。来年度はその下に存在するカマン・カレホユック第Ⅳ層に平行する前期青銅器時代の王宮址を中心とする調査が進められるとともに、いよいよ遺丘の北に確認されているカールム時代の都市遺構の調査が行われる予定です。
トルコ調査研究会では、土器、石膏、鉄等の資料の化学的分析、地中探査、考古学的遺物、遺構研究の報告が各々ありました。土器の分析研究では黒色彩文の顔料分析から結果3種類の技術が確認されました。クリーム土器の製法解明についての報告では、クリーム色を生み出す要因が特定できました。土器製作技術を研究するのは、技術の違いが文化の流れを裏付けるのではないかと考えるからです。ビュクリュカレから出土した石膏の化学的研究は、当時の交易圏、文化圏の把握に基本的な資料を提供してくれると期待しましたが、分析結果は石膏による封印はこの都市内での活動で用いられたものであることを示しています。
ヤッスホユック遺跡における地中探査調査では、発掘調査で確認された大型建築遺構から城門までの地域の都市構造に関して新たな知見を提供しました。またビュクリュカレ遺跡での探査では縦に積み重なっている何種類かの遺構をレーダー探査によって区分することが可能であることが理解され、都市部に存在するヒッタイト時代とカールム時代の遺構を区分することが可能になると期待されます。
考古遺物、遺構研究では、カマン・カレホユック遺跡のカールム時代からヒッタイト王国時代にかけての土器研究成果が報告されました。新たな型式編年確立を通して、この時代の遺物研究が滞っている研究状況を活性化させるものと期待されます。ビュクリュカレ遺跡の地下室遺構は、当時の儀礼研究に新たな考古学的資料を提供し、カールム時代からヒッタイト王国への文化の変遷に関しても新たな知見を提供してくれそうです。鉄器時代の印章研究については、様々な文化が錯綜したアナトリア鉄器時代の文化の影響関係を印章研究を通して解明していこうとするものです。
鉄関連の分析、研究成果は昨年度も様々な方向からの研究結果が報告されました。一つはカマン・カレホユック遺跡出土の鉄生産遺構を精査することから技術的変化を読み取ろうとする試みで、ヒッタイト時代と鉄器時代の間に技術的な変化または断絶が存在する可能性が指摘されました。ヒッタイト帝国の崩壊、その後のアナトリアを考察する上で大きな意味を持ってくると考えられます。また、カマン・カレホユック、ヤッスホユックの前期青銅器時代の層から出土した鉄遺物の分析研究では、昨年度カマン・カレホユック遺跡周辺の鉄鉱床から採取された鉄鉱石の分析により、ヤッスホユック遺跡出土の資料が近隣の鉄鉱石であり、カマン・カレホユック遺跡出土のものがアナトリア以外の地域から運び込まれたものであることが結論づけられました。この成果は前期青銅器時代に鉄鉱石が交易されたという新たな事実が明らかとなりました。さらにカマン・カレホユックの第IV層、前期青銅器時代の層から検出された鉄関連資料の分析結果は、前期青銅器時代における鉄生産活動の存在を示唆しており、鉄生産開始時期に関して大きな問題を提起するものです。(2018年4月9日)
■三笠宮記念庭園にも春が来ました.ソメイヨシノも満開です.
三笠宮記念庭園にも春が来ました。ソメイヨシノも満開です。(2018年3月30日)
■JETROイスタンブル所長が来所されました
2月11日、日本貿易振興機構(JETRO)イスタンブルの村橋靖之所長夫妻が当研究所を訪問されました。最初に2009年以降発掘調査を行っているビュクリュカレ遺跡、その後カマン・カレホユック遺跡、カマン・カレホユック考古学博物館、三笠宮記念庭園、アナトリア考古学研究所を見学されました。カマン周辺は青空が見える良い天気だったのですが、最初にご訪問頂いたビュクリュカレ遺跡周辺は霧に覆われ、せっかくの景色を見ていただくことが出来ませんでした。長時間にわたる説明を熱心に聞いてくださり、また様々な質問をして頂き、私も楽しいひと時を過ごすことが出来ました。そして村橋所長からは「現場を見ることの大切さを改めて認識しました」とのコメントを頂きました。さらに「次回は、発掘調査が行われている時期にお邪魔したいと思います」との連絡を頂き大変嬉しく思いました。(松村)(2018年2月15日)
■2017年度トルコ調査報告会・第28回トルコ調査研究会チラシ
■苗木
今シーズンも「三笠宮記念庭園」へクルシェヒル県から苗木が250本送られてきました。今回はスギ(Cedar)が中心です。来春は黒松をはじめ3千本を送って下さるとのことで、天候が回復次第、今回頂いた苗木の植栽を開始しようと思っています。(2017年11月27日)
■初雪
先週末まで、研究所のあるチャウルカン村も温かな日が続いていましたが、昨日(20日)から急に天気も崩れ、一気に気温も下がり始めました。その上、午後には珍しくザーザーぶりの雨。今日(21日)は、早朝からその雨も雪に変わり、今シーズンの初雪となりました。昨年度も、11月21日に初雪が降りましたので、同じ日にカマンは初雪を迎えたことになります。三笠宮記念庭園は、すっかり銀世界に包まれています。11月に入っても一日二百人前後の来園者があり賑わっていましたが、今日は訪れる者もなく静まり返っています。庭園の松にも雪が降り積もっていますが、日本の墨絵を想起させる光景です。この雪は根雪にはなるとは思いませんが、中央アナトリアは本格的な冬に入ったことだけは間違いなさそうです。発掘現場の保護屋根架けも、あと数日で終わるところでしたが、この雪で一時中断せざるを得ません。来週は快晴が続きそうですので、その間に保護屋根架けも終わらせることができるのではないかと思います。(2017年11月21日)
■アーヒー・エヴラン大学主催の国際シンポジウム参加者が訪問されました
11月13日(月)より、クルシェヒル県、アーヒー・エヴラン大学主催で「トルコにおける知識の育成と学問の方向性」と題する国際シンポジウムが開かれ、参加されたアタチュルク研究センター所長メフメットアリ・ベイハン教授をはじめとする研究者の皆さん40人程が11月17日(金)にアナトリア考古学研究所、カマン・カレホユック考古学博物館、そして三笠宮記念庭園を訪問されました。皆さんにとても喜んでいただきましたが、中でも駐独トルコ大使館に勤務されている方は、「ヨーロッパのいろいろな博物館を訪ねたが、このようなコンセプトを持ったものはなかった」と評価してくださいました。他にも、「カマンのように遺跡があって、その側に研究所、博物館のあるところは世界にも類例が無いのではないか」と言って高く評価される方もおられました。それからご両親が研究所のあるチャウルカン村出身の研究者の方がいらっしゃり、「村の発展に貢献していただき感謝している」とも言ってくださいました。このようにアナトリア考古学研究所の活動を評価していただいたことは本当に嬉しい限りです。(松村)(2017年11月19日)
■三遺跡の保護屋根掛けを始めました
アナトリア考古学研究所が4月下旬から開始したビュクリュカレ、カマン・カレホユック、ヤッスホユックの発掘調査は、11月の初旬に終了しました。例年、発掘調査が終了したと同時に、3遺跡に保護屋根を架ける作業が始まります。各遺跡から出土した建築遺構、発掘によって生じた断面を保存するためです。 11月4日にヤッスホユックの発掘調査が終了し、7日から同遺跡の保護屋根掛けが始まりました。この作業に当たっているのは、遺跡発掘に従事している地元の人たちなので、建築遺構、断面を壊さないように丁寧に扱ってくれるのが何よりです。早朝は、零度前後の寒さですが、10時ぐらいになると気温も上昇しますので、作業のピッチも上がります。ヤッスホユックが終わると、次にビュクリュカレ、そしてカマン・カレホユックの順に保護屋根掛けを行う予定です。11月の下旬に全ての作業が終わる頃には、アナトリア高原は真冬に入ることになるでしょう。雪が来る前に、何とかこの作業を終わらせようと、全力を挙げているところです。(2017年11月11日)
■日本人観光客ツアーが再開され、カマン・カレホユック考古学博物館にも来館されています
春にも一時期カマン・カレホユック考古学博物館に来館していた日本人観光客ツアーが10月中旬以降、再び毎日のように訪れています。昨年度のクーデター未遂、テロ事件等のためにカッパドキアでも日本人観光客は全く見ない状況でしたが、今年になって少しずつツアーが再開されはじめたようです。ガイドさんの話ではツアー再開を待ち焦がれていた方が沢山いらっしゃるそうです。博物館にお出で頂いた皆様に少しでも理解を深めて頂きたいと思い、時間が取れる時にはできる限り博物館で展示解説をしています。日本の皆さんにもっともっとこの研究所の活動を知ってもらうように努力したいと思っています。(松村)(2017年11月8日)
■JICAトルコ事務所関係者が訪問されました
アンカラにあるJICAトルコ事務所に新しく着任された安井所長以下事務所の方々、JICA帰国研修員同窓会メンバーとその家族の方々合計21名が遺跡と研究所を訪問されました。
10月28日朝10時にビュクリュカレ遺跡に皆さんが到着、遺跡頂上部の宮殿址をはじめとした発掘区を見学していただき、この古代都市の歴史を聞いていただきました。それからカマンの研究所に移動、研究所の食堂で一緒に昼食を食べた後、カマン・カレホユック遺跡見学、カマン・カレホユック考古学博物館見学、日本庭園散策、そしてアナトリア考古学研究所を見学いただきました。過密なスケジュールでしたが、皆さんには興味を持ってご覧頂き、喜んでいただけた様子でした。
同窓会の会長さんはアンカラ大学の教授で、その友人である考古学科の先生二人も参加されていました。私は彼らとは学会等で一緒になったりして旧知の中でしたが、来ることを知らされていなかったため、ビュクリュカレ遺跡で彼らに会った時には驚きましたが、会話が弾みました。JICAの皆様にはカマン・カレホユック考古学博物館の建設をはじめとして様々な面からご協力をいただいています。研究所の活動成果をご覧頂き、理解を深めていただくことはとても大切なことです。(松村)(2017年11月8日)
■独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所の皆さんが当研究所を訪問してくださいました。
10月27日に独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所、中山文化遺産国際協力センター長、安川研究支援推進部主任、アソシエイトフェローの増渕さんが当研究所を訪問されました。今回はカッパドキアにおいて壁画の保存修復セミナーを開催するためにトルコに来られ、その過密なスケジュールの中ネブシェヒールに向かわれる途中で寄ってくださいました。トルコにおいても様々な方面で日本の技術援助が行われています。こうした着実な活動によって現地の人たちの信用を得ることにつながり、徐々に大きな力となってくるものと期待しています。(2017年11月7日)
■クルシェヒル県内地下都市の調査協力
クルシェヒル県の特別地方総局事務局長であるベクタシュ(Bektaş AYDOĞAN)氏の依頼により、ヤッスホユック遺跡の地中探査を行なっている京都大学准教授の福田勝利氏が9月16日にクルシェヒル県内に存在する多数の地下都市の中でも特に大きいケペズ村の地下都市の調査の手伝いに行って来ました。 今回は地下都市が階層化しているかどうかを調べたのですが、残念ながら探査した部屋の下には空洞を見つけることができませんでした。
歴史的に興味深く感じたのは、クルシェヒル県には極めて大型の地下都市が存在する点です。それも多数存在しています。これらは戦争時の避難場所として作られたと考えられています。敵が来た時に逃げ隠れする場所としてはカッパドキアと同じと言えますが、規模が違います。ケペズ村の地下都市を例にとると、一つの村ではなく、一つの都市の住民全てが収容できるほどの大きさです。当時の人々が計画的に地下都市を作っていたとしか考えられません。戦争の戦い方としてそんな例があるのでしょうか?もっぱら修道僧が生活し、逃げ込む場所としての地下都市だと思い込んでいたのですが、どうもそうではないようです。未だ解明されていない歴史が眠っているのかもしれません。(2017年11月7日)
■アナトリア高原の星空
アナトリア高原は晩秋を迎えたところです。朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってきてました。研究所のあるチャウルカン村も冬支度が終わったようです。早朝には、村で薪ストーブで暖をとり始めたのでしょうか。村全体をうっすらと包むように烟突からの煙が漂っています。この時期のアナトリア高原の夜空は格別です。キラキラと輝く満天の夜空はアナトリア高原ならではのものかもしれません。時を忘れてしまいそうになります。(2017年10月30日)
■博物館学フィールドコース(2017年)終了
2011年より、トルコ文化観光省古物博物館総局と共催してきた博物館フィールドコースは、2017年度も昨年度に引き続き、「紙の保存・修復」をテーマに、専門家の渡邊万里子さんとセラップ・オズデミルさんを講師に迎え、10月2日から14日まで2週間にわたりアナトリ考古学研究所で実施されました。
第1週目の初心者向けコースは初めての参加者を対象に、第2週目の中級者向けコースは昨年度受講した人を対象に行われました。講義とともに実習に重点を置いたいずれのコースも、真摯な参加者とともに、大きな成果を得ることができました。参加者からは、さらに上級のステップを望む声が多く聞かれました。
10月16日からはアンカラのガーズィ大学で、同大学の保存修復科の学生を対象に初心者向けコースが実施されます。(2017年10月18日)
■博物館における免震対策についてのワークショップ
JICA から派遣された永金宏文氏が、カマン・カレホユック考古学博物館で博物館における免震対策について、2度のワークショップを開かれました。参加者は、アナトリア考古学研究所で博物館学フィールドコースに参加している若手の保存修復家でしたが、最新の免震装置や遺物固定の実技指導など、参加者の興味を大いに引いたようです。永金氏は、アンカラの文化観光省古物博物館総局と、チョルムの考古学博物館でも、同様のワークショップを開かれました。(2017年10月17日)
■宮島昭夫新駐土大使ご来所
全権大使として9月9日に 赴任されたばかりの宮島昭夫駐土大使が、10月9日、アナトリア考古学研究にご来所下さいました。大使には、まず、研究所から約25km東南にあるヤッスホユック遺跡で、発掘中の鉄器時代の大形建築遺構、前期青銅器時代の宮殿址をご覧頂きました。その後、カマン・カレホユック遺跡、カマン・カレホユック考古学博物館、三笠宮記念庭園、そしてアナトリア考古学研究所をご視察いただき、トルコ文化観光省古物博物館総局と共催で実施している「紙の保存・修復」に関する博物館学フィールドコース(2017年)の授業風景もご覧頂きました。(2017年10月16日)
■カマン・カレホユック考古学博物館の広告塔
アンカラーカイセリ間の幹線道路沿いに設置されているカマン・カレホユック考古学博物館の広告塔改修を行いました。この広告塔は4年前に設置されたものですが、風雨にさらされて看板部分が壊れてしまっていました。そこで今回、博物館展示専門家の永金宏文氏の協力の下、博物館長のイゼットさんの意見も取り入れて看板のデザインを一新しました。デザインが決まると、研究所の発掘調査に参加している写真家の植誠一郎氏に写真を撮影していただきました。新しい看板は昨年の遺跡案内板製作の経験を生かして、屋外に設置しても色あせにくいインクを用いてプリントされています。こうして大勢の人々の協力をいただき今回の広告塔が出来上がりました。この広告塔はアンカラからカッパドキアへ行く道の途中にあり、アナトリア考古学研究所が発掘しているヤッスホユック遺跡の近くです。もしも皆さんがこの街道を通る機会がありましたらぜひ博物館の広告塔を探してみて下さい。(2017年10月9日)
■世界税関機構(WCO)事務総局長来所
9月13日(水)、世界税関機構(WCO)事務総局長、御厨邦雄氏がアナトリア考古学研究所を訪問されました。カマン・カレホユック遺跡、そしてカマン・カレホユック考古学博物館を見学いただきました。
当初、考古学とは全くかけ離れたお仕事をされている組織の方と思っていましたが、お話をしているうちに税関と考古学はとても関連性のあることに気づかされました。カマン・カレホユック遺跡で出土したアッシリア商業植民地時代の楔形文字粘土板文書の前では、最初の文字がシュメールの地で生まれた時に家畜等の数を数えることから文字が生まれていることをお話し、それがアナトリアに入って来た時には交易品のリスト、数量を記入するために文字が用いられ始めていたことをお話ししました。また、物のやりとりを通して文化が発展していること、物の流通から税を取るシステムが生まれて来ていること、それを通して国が発展して行ったことなど色々なお話が出来、交易、税、考古学が結びついて来ました。そのシステムは現代社会にも受け継がれて来ており、展示物を説明していた私にとっても非常に刺激的な会話となりました。(松村)(2017年9月16日)
■三笠宮記念庭園
このところ土曜日、日曜日になりますと、三笠宮記念庭園には一日少なくとも千人の来園者があります。例年通り、村、町で結婚式を上げた新郎、新婦が記念撮影に庭園にやってきています。この地域では結婚式後に庭園で記念撮影することが、すっかり恒例となったようです。先日の土曜日には43組の新婚夫婦が親族等と共に庭園に訪ねてきたとのことです。庭園前の駐車場には50台以上の車が並んでいるのには驚いてしまいます。三笠宮記念庭園は開園して24年になりますが、村、町からやってくるトルコ人の人たちは、友達が訪ねてきたと云っては庭園を案内しているようで、すっかり地元の人々の憩いの場であり名勝地になったようです。今年の来園者は、博物館の来館者を含めて十万人を超すのではないかと期待しています。
それと今シーズンの三笠宮記念庭園、考古学博物館の大きな出来事は、定期的に日本人の観光客がバスで訪ねて来るようになったことです。これまでは年に1〜2台、日本人観光客が訪ねてくるぐらいでしたが、このシーズンは週に1〜2台、多い時で3台ほどツアーバスが入ってくるようになりました。カッパドキアからアンカラへ向かう途中でカマンに訪ねてきているようです。ここで日本人が発掘調査を行っていることに観光客はかなり驚いている様子で、トルコは日本からあまりにも遠いこともあるのでしょうか。一番多い質問は、「なぜここで発掘をしているのですか」というものでした。(2017年9月10日)
■中央アナトリアは実りの秋を迎えました
アナトリア考古学研究所には、サクランボ、杏、リンゴ、梨、葡萄、アーモンドなどの木が沢山あります。ほとんどは自生したもので、これまで手入れをしたことはありませんが、果物などを見るとアナトリア高原の豊かさを感じます。四月から十月初旬にかけては、食卓に必ずと云っていいほど研究所内で穫れる果物が途切れることはありません。
カマンの名産の一つに胡桃があります。「カマンの胡桃」は全国的に有名ですが、ここ数年、春先の寒暖の差が激しいためか、あまり豊作とは言えませんでしたが、今年は大豊作のようです。10月初旬にはカマンで「胡桃祭り」が開催されることになっており、大いに盛り上がるのではないかと思います。
今は葡萄の季節です。25年程前に自生していた葡萄を育てたものです。今週末ぐらいが食べごろかと思います。太陽を燦々と浴びた葡萄ですので、なかなかの甘みがあります。梨もそろそろ収穫の時期に入ります。昨年に較べますと小振りのようです。梨の収穫も終わりますと村では冬支度が始まります。研究所周辺の小麦の刈り入れもほぼ終了し、高原全体が広々感じるようになってきました。先日降った雨のせいでしょうか。高原全体がしっとりし秋の気配を感じるようになりました。(2017年9月9日)
■三笠宮記念庭園の「花暦」
JICAのシニアボランティアでお出でになっていた小山季廣さんが、三笠宮記念庭園の花暦を作成して下さいました。小山さんは2015年からカマンにお出でになり、三笠宮記念庭園の管理を行って下さいました。庭園を訪ねてくる方々から庭園で咲く花について尋ねられることが多かったようで、それに応える形で庭園の「花暦」を作成。来園者に差し上げたところ大変好評で大喜びされています。「花暦」は、小山さんでなければなかなか気付かなかったことで、この「花暦」は、開園以来のヒットではないかと思います。小山さんは庭園を手入れしているトルコ人のスタッフを始めとして多くの地元の人たちから惜しまれつつ六月に任期を終えカマンを離れました。(2017年9月9日)
■考古学の授業 (2017年)
今シーズンも土曜日に考古学の授業を行っています。12時から約1時間半程行っています。これには発掘調査に参加している労働者、研究所で作業をしている子供たちが参加していますが、今回は査察官のイルカイさん、隊長代理のコチ大学のチーデムさんも先生役を引き受けてくれたこともあり、なかなか活溌な授業になりました。いつも授業では、発掘の仕方を十分に知った上で調査を行うのと、知らないまま現場に入って発掘するのでは雲泥の差があるということを口酸っぱく云っていることもあるのでしょうか、こちらで見ていても労働者が納得する形で発掘を行っているのを見ることは本当に嬉しいものです。(2017年9月5日)
■アンカラ日本人会来所
8月12日、アンカラの日本人会、26名がアナトリア考古学研究所を訪ねてきました。 カマン・カレホユックの発掘現場では、遺跡の概略を説明した後に、北区の最深部まで全員が下り、今から約4300年前の大火災層を見学しました。この火災層はカマンだけではなく、アナトリアの他の遺跡でも見られるものです。カマン・カレホユックは、他の遺跡に較べますと注目すべき遺物の発見は少なく、かなり詳細な説明をしない限りなかなか理解できない遺跡です。その点から云いますと、日本人会の方々も多少戸惑ったのではないかと思います。また、日本のODAで建設された博物館では新たにヤッスホユック、ビュクリュカレ用の展示コーナーも設置しており、そのコーナーでは調査を実際に指揮している松村研究員が解説、研究所内を大村正子研究員が案内しました。五時過ぎに研究所を離れました。(2017年9月5日)
■ビュクリュカレ遺跡発掘調査:学生参加
今年の発掘にも例年通り、地元アーヒーエヴラン大学(Ahi Evran Üniversitesi)考古学科の学生が参加しています。発掘調査時期が、いつもは授業と重なってしまうため1週間だけの短期参加なのですが、今年は発掘調査期間が少し遅かったために大学の夏休み休暇に入り、長期滞在しながらの発掘参加が可能となりました。学生の中には、昨年アメリカ隊のケルケネスダー遺跡の発掘に参加した学生や、ドイツ隊のボアズキョイ遺跡の発掘に参加した学生もおり、色々な発掘隊で経験を積むようになってきています。発掘調査の仕方も遺跡ごとに異なり戸惑いもあるようです。また、日本隊は規律が厳しいことでも知られており、調査に参加する色々な国の人々と生活を共にしながら考古学を学んでいきます。アーヒーエヴラン大学はまだまだ新しい大学ですが、将来彼らの中からトルコ考古学の一翼を担ってくれる人が育ってくれればと期待しています。(2017年7月26日)
■イスタンブール日本人学校の生徒が見学に来ました
6月7日にイスタンブールにある日本人学校の生徒20人程がビュクリュカレ遺跡に見学に来ました。最初に遺跡の説明を聞いてもらい、発掘調査で見つかった巨石壁等を見てもらいました。生徒は小学校高学年と中学校の人達でしたが、真剣に話を聞いてくれて色々な質問が出ました。その後、遺跡で発掘体験をしてもらいました。準備した発掘区は前日表土層を剥ぎ、土が軟らかくなるところまで掘り下げ、子供達が掘ったら直ぐに土器片等が見つかるようにしたつもりだったのですが、実際に子供達が掘ってみると、流石に発掘に従事している労働者の掘り方とは違い、力がないためあまり深く掘れず、そのため遺物もなかなか見つかりませんでした。体験の時間も短かったのですが、子供達は必死に何かを見つけようと頑張っていました。そして何か見つけるとすぐにやって来ては「これは何?」と次から次へと質問責めにあいました。小さな土器片が見つかると飛び上がって喜んでいました。炭化植物片を見つける子供もいましたし、つい数年前のカタツムリの殻を見つけて、「これは何?」と聞いて来る子もいました。最近の子供達にとってはこのように土に触れるといった機会がほとんどないのかもしれません。太陽の下で汗をかきながら作業するという自然の中での体験から何かを感じてくれたなら嬉しい限りです。
その後、カレホユック考古学博物館を訪ねました。そこでは大村正子研究員の案内で館内を見学しましたがそこでも盛んに質問が出ていました。久しぶりに日本の子供達と接して、日本の子供達は礼儀正しいと改めて思いました。また今年の春に東京で行われたトルコ調査報告会では、数年前に同じ遺跡見学会に参加した生徒の一人が親御さんといらして、「将来考古学を勉強したい」と挨拶に来られました。遺跡での発掘体験が影響を与えたのかと、とっても嬉しい反面、大変な道に引っ張り込んでしまったとも思いました。しっかり頑張ってほしいと思うと共に、できる限りの応援をしたいと思います。(2017年7月25日)
■第39回国際発掘・調査・考古科学シンポジウム
今年のシンポジウムはブルサで開催されました。アンカラからブルサへは今回初めて高速鉄道に乗りました。250kmのスピードで走り、1時間半でエスキシェヒルに到着し、そこからバスに乗り換え2時間の旅でしたが、なかなか快適でした。
今年のシンポジウムは昨年より出席者が多いようで賑やかでした。 ただし昨年度ドイツ国会がトルコに対する非難決議を行ったため、ドイツ発掘隊に対して調査許可が出ませんでした。その結果、ボアズキョイ、ペルガモンといった長年継続している発掘が行われませんでした。エフェソスの調査も調査半ばで発掘許可が取り消されました。このように考古学研究が政治的な影響を受けるのは大変残念なことです。
またテロ事件等の影響でトルコを訪れる観光客が激減してしまいました。 あれほど賑わっていたカッパドキアでも日本人観光客はほとんど見かけなくなりました。今回の会場であるブルサでも、「日本人観光客はほとんど来なくなってしまった」と街の人々が言っていました。それでも、今年に入って日本人のツアーが復活してきたと聞いていますし、ブルサのホテルでも数人の日本人観光客を見かけました。
トルコへの観光客が減ると、それに伴い博物館入場料等の収入も減ります。その結果、そこから支払われていたトルコ国内の考古学発掘調査費が激減してしまいました。これはトルコの調査隊にとって大打撃です。その結果なのかどうかは定かではありませんが、今年の発掘調査結果の発表を聞いていると、これまで強調されていた遺跡保存、公園化の説明が減り、原点回帰したかのように研究成果の発表を前面に出したものが多かったように思います。
今年の発表で特に興味深かったのは、前期青銅器時代の遺跡から出土した鉄剣です。かつてイギリスのジェームス・メラートという有名な考古学者が発掘したハジュラル遺跡で現在再発掘が行われています。その遺跡の上層部、前期青銅器時代2期の覆土から30cmほどの長さの鉄剣が出土したことが報告されました。分析の結果98%鉄、2%ニッケルを含んでいるとのことで隕石の可能性が高いと考えられています。柄の部分には鉄製のリベットが残っています。さらに驚くことはこの鉄剣の保存状態が極めて良いということです。これまで最古の鉄剣と言われてきたアラジャホユックの王墓から出土した鉄剣はボロボロですが、さらに古いこの鉄剣は刃先も鋭く残っているようでした。今後の議論が楽しみです。
紀元前2千年紀研究において最も大きな発見の一つがアジェムホユック遺跡の前期青銅器時代層から出土した、楔形文字が刻まれた分銅の出土です。文字はクリスタル製の細長い樽型の分銅の表面に刻まれていますが、まだ解読されていません。何語で書かれているのかが不明とのことです。未知の言語である可能性もあり発掘隊長のアーリエ教授は「ハッティ語?」と冗談混じりで言っておられましたが、そんなこともあり得るのかもしれません。この時代は私たちにとっても興味深い時期です。ヤッスホユックで発掘中の宮殿址はこの時代のもので、もしかしたらここからアナトリアで最初のアッカド語の文字資料が出土するのではという期待を持っています。この時代はメソポタミアのアッカド王国が隆盛を極めた時代です。アッカド王サルゴンが商人の要請でアナトリアに遠征した折、そこが気に入って長期滞在したという伝説があります。その滞在した場所がプルシュハンダという都市で、その都市こそ今回文字資料が出土したアジェムホユックではないかと考えられているのです。これでアナトリアの歴史時代はさらに古くへと遡ることになり、歴史を大きく書き換えることになりそうです。
また中央アナトリア北部のオイマアーチという遺跡でも新しい成果が出て来ています。この都市はヒッタイト時代の有名な宗教都市ネリックと考えられています。今年の発表ではほぼ間違いないと隊長のツィヒョン教授は報告していました。この遺跡では新旧二つの神殿址が確認されていたのですが、その間にもう一つ全く性格の異なる建築遺構が確認されました。それが黒海沿岸のカシュカ民族によるものではないかというのです。そこから出土する土器も特徴的な三角形を基調とする幾何学文の赤色彩文の土器で、ツィヒョン教授はそれこそがカシュカの土器ではないかと考えているそうです。これまでカシュカの遺跡が見つかっていない理由として、彼らは遊牧民的で定住生活をしていなかったために集落址は見つからないのだと言われていました。しかし、今回ようやくその実態が解明されようとしています。カシュカの問題は私にとっても興味深いものです。というのもビュクリュカレ遺跡の古代名として提唱されているトゥルミッタという都市はカシュカ民族の都市と考えられているからです。もしもビュクリュカレがトゥルミッタであり今回の成果が正しいのであれば、ビュクリュカレにおいてもこのような土器が出土してもおかしくはありません。ただ、これまでビュクリュカレでこの種類の土器は確認されておらず、さらなる検討が必要です。
このようにトルコの考古学界ではまだまだ新しい成果が続々と出て来ています。私たちも少しでも貢献できるように発掘を行って行きたいと思います。(松村)(2017年6月19日)
■植樹作業をしています
クルシェヒル県の特別地方総局から寄贈された苗木1500本がアナトリア考古学研究所に到着しました。これらをJICAから派遣され庭園管理に来られている小山さんの指導のもと、三笠宮記念庭園内、研究所周辺に樹種ごとに適した場所に植樹しています。今回送られて来た苗木の中にはレバノン杉と呼ばれる貴重な樹種も含まれていました。レバノン杉というとメソポタミアに出現したアッカド王朝のサルゴン王が「トルコ南東部のアマヌス山脈からレバノン杉を切り出した」という記述が思い浮かびます。森林のなかったメソポタミアでは建築資材として木材を求めて遠征したとのことです。今後のレバノン杉の成長が楽しみです。そして小山さんに教えていただいたのですが、レバノン杉というのは実はスギ科ではなくマツ科の針葉樹だそうです。(2017年5月13日)
■三笠宮記念庭園の開園準備
毎年春の恒例になっている池の清掃作業が終わりました。毎年少しずつ改良を加えて効率よく作業を行う工夫をしています。今年は池に敷いた砂利を綺麗にするために機械を使い、これまでの半分の時間で作業を終わらせることができました。綺麗になった池に鯉を戻すと皆気持ち良さそうに泳いでいます。でも心なしか今年は鯉の数が少なくなっているようです。庭を管理しているムスタファさんに聞いてみると渡り鳥が来て魚を取って食べてしまうとのことでした。また野良猫も魚を取りに現れるそうです。管理人はそういった動物とも戦ってくれています。(2017年4月25日)
■アナトリア考古学研究所パネル展の開催
三笠宮記念庭園を訪れる人々は、カマン・カレホユック考古学博物館に通じる道を通り三笠宮記念庭園へと向かいます。今回その博物館前の道に研究所の活動を紹介する写真ポスターを30枚展示しました。三笠宮記念庭園を訪れる人々に研究所がどんな活動をしているのかを知ってもらおうと、研究所で働いている村の人たちが中心となって発掘調査の様子や遺物の出土状況等の写真を選びレイアウトをして作成しました。博物館に勤めている人の中にはかつて一緒に発掘した人も多く、発掘時の思い出を懐かしく話しながら、展示準備を手伝ってくれました。週末には庭園を訪れたたくさんの人々がポスターの前で足を止め見入っていました。興味を持ってもらえるのは嬉しいものです。一生懸命みんなで作った甲斐がありました。(2017年4月25日)
■待ち焦がれたアナトリア高原の春
今年の冬は雪が多く、寒さも一段と厳しく、JICAから派遣され庭園管理に来られている小山さんは道が凍っていて危ないとずっと靴に滑り止めの金具をつけておられました。昨年はその必要性が全くなかったと話されていましたがそれほど今年の冬は厳しかったということでしょう。
冬が厳しければ厳しいほど春の訪れが待ち遠しいものです。待ちに待ったアナトリア高原の春は四季の中で一番良い季節ではないでしょうか。植物が一斉に芽を出し、生命の息吹が感じられます。今年は例年と異なり山桜がソメイヨシノよりも先に咲き始めました。これも寒さの影響でしょうか。山桜は枝いっぱいに花をつけて咲きましたが、ソメイヨシノは今年は花が少なく残念でした。昨年から堆肥を入れ土壌改良をして大切に育てていますので、来年はたくさんの花が咲くのではないかと期待しています。(2017年4月25日)
■三笠宮記念庭園の間伐作業
1993年の9月に開園した三笠宮記念庭園も24年も経過しました。91年、92年に植樹した黒松などは、アナトリア考古学研究のあるチャウルカン村の環境に上手く適応したのか、50㎝にも満たない苗木でしたが、現在では背丈は7〜8メートルにもなっています。間伐をしなければと思っていましたが、素人ではなかなか出来ずにおりました。JICAのシニアボランティアとして、2016年にカマンに派遣された庭園管理の専門家小山季廣さんが、間伐を現在盛んに行っているところです。間伐作業で、庭園も大分すっきりしてきました。この作業が終わりますと、次は庭園の池のクリーニングを行ない、今シーズンも三笠宮記念庭園をオープンする予定です。2016年は、4月1日〜11月30日までの8ヶ月間で、三笠宮記念庭園には8万人を超す来園者がありました。今シーズンも多くの来園者が訪れることでしょう。(2017年4月2日)
■「アナトリア考古学研究」XX号発刊
アナトリア考古学研究所が刊行している「アナトリア考古学研究」XX号が発刊されました。今回は、ヤッスホユック出土のヒエログリフ、ビュクリュカレ出土の粘土板、カマン・カレホユック第IV層、前期青銅器時代出土の植物遺存体等の報告が掲載されています。(2017年3月26日)
AAS XX Contents
■2016年度トルコ調査報告会・第27回トルコ調査研究会が行われました
2016年度トルコ調査報告会・第27回トルコ調査研究会が、3月4日(土)、5日(日)の二日間に渡って学習院大学の「創立百周年記念会館」で行われました。両日で参加者は350名を超し、研究会での質疑応答も活溌に行われました。
トルコ調査報告会では、アナトリア考古学研究所の活動(2016年)、ビュクリュカレ第8次発掘調査、カマン・カレホユック第31次発掘調査、ヤッスホユック第8次発掘調査、ヨズガット県における遺跡踏査の報告が、それぞれの担当者によって行われました。
カマン・カレホユックでは、「文化編年の構築」という発掘の目的に則って進められている第Ⅳ層前期青銅器時代の火災層に属する遺構群と第Ⅲa層のヒッタイト帝国時代の建築遺構を中心とする調査について、詳細に報告されました。また、ビュクリュカレでは、カマン・カレホユック第Ⅲa層に平行するヒッタイト帝国時代の建築遺構を中心とする調査が、そしてヤッスホユックでは、カマン・カレホユック第Ⅳ層に平行する前期青銅器時代の王宮址を中心とする調査が進められていることが、それぞれ報告されました。ビュクリュカレではヒッタイト帝国時代の粘土板文書片も発見され、今後、帝国の都ボアズキョイ(古代名ハットゥシャ)との関連、さらには西アナトリアにおける帝国の位置付け等の解明に新たな資料を提供してくれるものと大いに注目されます。ヤッスホユックでは、王宮址の下に第二の火災層が存在することが確認され、今後の調査により中央アナトリアの前期青銅器時代の文化の発展過程の解明に貢献できると考えられます。
中央アナトリアの遺跡踏査に関しては、アナトリア考古学研究所の活動とともに、ヨズガットからキュルテペに通じる街道沿いで行われた遺跡踏査について報告されました。カマン・カレホユック第IV層出土の土器に平行する前期青銅器時代、前3千年紀の第3〜4四半期に年代付けられる彩文土器が 数多く採集され、 中央アナトリアの彩文土器の文化圏を考察する上では重要な資料と成り得ると考えられます。
第27回トルコ調査研究会では、土器、石膏、炭化物、鉄等の資料の化学的分析、年代測定等に関する研究、地中探査に関する報告、ビュクリュカレ粘土板文書の解読から推察されるビュクリュカレの位置付け、そして 獣骨研究による紀元前2千年紀の牧畜経済に関する考察等が発表されました。
カマン・カレホユックの前期青銅器時代の層から出土したろくろ製土器、鉄器時代の彩文土器、あるいはビュクリュカレ出土の石膏の化学的研究は、それぞれの製品や材料の産地推定、技術の搬入や発展等の考察を経て、当時の交易圏、文化圏の把握に基本的な資料を提供してくれるものと考えられます。
カマン・カレホユックの第IV層、前期青銅器時代の層から検出された鉄関連資料の分析について、資料の形態と組成から観察して、前期青銅器時代の鉄生産活動について論じたのは、今後の鉄生産開始時期を考察する上で重要な示唆を与えるものです。また、カマン・カレホユック、ヤッスホユックの前期青銅器時代の層から出土した鉄遺物の分析結果では、両遺跡出土の資料が、アナトリア内の鉱床から運び込まれたものか、あるいはアナトリア以外の地域から運び込まれたものか等が今後の大きなテーマです。これを実証する上では、カマン・カレホユック周辺及び遠隔の鉄鉱床からの資料採集と分析が重要な鍵になると思われます。(2017年3月30日)
■カマン・カレホユック考古学博物館のパネル展示
アナトリア考古学研究所が行っている発掘調査で出土した遺物は、カマン・カレホユック考古学博物館に展示されています。展示品には解説をつけていますが、その遺物が誰によって発掘されたのかはほとんど示されていませんでした。
今回、1986年以降、発掘調査に参加したスタッフを写真パネルで表わしてみました。発掘調査は研究者中心に進められていますが、それを支えてくれるのが研究所のあるチャウルカン村から参加している多くのトルコ人のスタッフです。発掘調査、遺跡踏査、遺物の修復作業等は、このスタッフたちによって行われています。
調査、研究は決して研究者だけによって進むものではないと思いますし、このパネルを見ると多くの人々のサポートがあって初めて可能になっていることがよくわかります。(2017年3月19日)
■3遺跡に案内板設置
アナトリア考古学研究所は、現在、カマン・カレホユック、ヤッスホユック、そしてビュクリュカレの3遺跡で発掘調査を行っています。発掘開始当初は、ほとんど訪ねてくる人もなく発掘調査期間中は閑散としたものでした。最近ではトルコの新聞、テレビ、雑誌に取り上げられる機会が多くなったこともあり、訪ねてくる人もかなり多くなってきています。先日完成した案内板を各遺跡の登り口に設置しました。案内板には、遺跡の地形図、発掘区、空撮、復元図等を掲載し、解説はトルコ語、英語、日本語で記しています。遺跡にお出での際は是非ご覧下さい。(2017年3月18日)
■三笠宮記念庭園
三笠宮記念庭園は、12月〜3月末まで閉園です。この時期は雪に覆われることも多いのですが、それでも天気の良い日は家族連れで庭園を訪ねてくる人の多いのには驚きます。現在、JICAのシニアボランティアの小山季廣さんが中心になり、前々からしっかりとしたものを作りたいと考えていた樹木名板の製作を行っています。雪解けと同時に庭園内に設置する予定です。これが設置されることで来園者も喜んでくれるものと思います。春が待ち遠しいです。(2017年3月18日)
■冬期間の研究所の作業
今シーズンは予想以上に雪が多く、アナトリア高原は幾度も銀世界に包まれました。寒さもマイナス10度前後と大分冷え込んでおり、強風で吹きだまりがいたるところにできています。一日でも早く春がやって来るのを待ち望んでいるところです。その雪の中を通ってくる研究所のスタッフには、いかに仕事とはいえ感謝するのみです。
発掘調査、遺跡踏査が終了後、アナトリア考古学研究所内では、出土遺物、建築遺構の実測作業等を行っています。これらの作業は、発掘調査を行う上で中心的な役割りを果たしているウスタ(親方、少なくとも発掘調査に20年以上勤めているトルコ人)が中心に行なっています。ウスタは、発掘調査はもちろんのこと、出土遺物の実測作業、さらに遺物の修復作業等を行なっています。概報、本報告等を作成する上では、冬期間のこのような作業は極めて重要です。彼らは一年を通して研究所に勤めており、彼ら無くして研究は成り立たないでしょう。(2017年2月23日)
■出土資料の整理作業
アナトリア考古学研究所が発掘調査を行っているカマン・カレホユック、ヤッスホユック、ビュクリュカレ遺跡から出土している遺物、中央アナトリアの遺跡踏査で採集した土器資料の整理作業が新収蔵庫内で順調に進んでいます。1986年以来、試行錯誤を繰り返しながら出土遺物を整理してきましたが、新収蔵庫の第一の目的は、必要な時、遺物を瞬時に取り出すことが出来るようにすることにあります。2016年の発掘調査、遺跡踏査が終了した段階から新収蔵庫の整理作業に入りました。
新収蔵庫には、遺跡踏査で採集した土器資料を年度別に、カマン・カレホユックで出土した人骨、ヤッスホユック、ビュクリュカレの土器資料等を出土年、発掘区毎、部位別、層序別に、新しく設置したスチール棚に収めています。この作業は、ウスタ(親方)のエリチンが中心となり、発掘調査に参加している地元の8人の作業員が進めています。研究を行う上での基盤が出来上がりつつありますし、今後は研究者への公開も容易になるものと思います。(2017年2月18日)
■2016年度トルコ調査報告会・第27回トルコ調査研究会チラシ
■アナトリア高原は初冬に入りました
遺跡に保護屋根を架けている段階で雪に見舞われました。例年より早い雪です。早朝の気温がマイナス4~5度の日が続いていましたが、目を覚まして高原を見ると銀世界になっていました。その後多少温かくなりだいぶ雪も解けて屋根掛けの作業は順調に進んでいますが、いつ大雪に見舞われても不思議ではありません。初冬に入ったばかりですが、もう初春を待ちわびてしまう心境です。こんなに寒くなってきているにも関わらず、三笠宮記念庭園の来園者が途切れないのには驚きます。雪景色の庭園が美しいとの噂が流れているようです。(2016年12月4日)
■3遺跡の保存
アナトリア考古学研究所は、カマン・カレホユック、ヤッスホユック、そしてビュクリュカレの3遺跡で発掘調査を行っています。今シーズンは、4月下旬にビュクリュカレ遺跡の発掘を開始、11月初旬にヤッスホユック遺跡の調査を終了しました。出土した建築遺構、断面を冬期の雨、雪から守るため、例年、住友財団の助成により発掘区に保護屋根を架けています。継続して調査している発掘区の保存を行うには、現段階ではこの方法が最善と考えます。アナトリア高原では冬から初春にかけて、降雪が優に50センチを超すこともありますし、大雨に見舞われる時もあります。先月の下旬から始まりました屋根架けの作業も最終段階に入ってきています。この作業が終わる頃にはアナトリア高原も銀世界に包まれることでしょう。(2016年11月30日)
■アナトリア高原は晩秋を迎えました
紅葉していた木々も葉を落し、三笠宮記念庭園は晩秋を迎えました。カッパドキアでは国内情勢が混乱していることも影響してか、訪問客が激減しているようですが、三笠宮記念庭園の訪問客は、11月中旬の段階で八万人を超えました。訪問客数では、1993年に開園して以来の新記録となりました。晩秋を迎えたと同時に、空気が澄んできたのでしょう。夜空には満天の星がきらきらと輝くようになりました。音楽を奏でているような輝きには一瞬見とれてしまいます。ここ数日、早朝の寒さがマイナス5~6度と大分冷え込んできました。窓の外の高原が一面銀世界に包まれるのを見るのも、もう直きかと思います。(2016年11月26日)
■ガーズィ大学美術学部での博物館フィールドコース
国際交流基金、アナトリア考古学研究所、アンカラにあるガーズィ大学との共催で、紙、本の保存、修復に関するフィールドコースを10月3日〜7日までの5日間行いました。ガーズィ大学に文化財保存・修復学科があり、土器、青銅製品、鉄製品、モザイク等の保存、修復等のトレーニングが行われていますが、紙、本に関する授業はまだ本格化していないとのこと。カマンのアナトリア考古学研究所で行われていた博物館フィールドコースの後、修復専門家の渡邊万里子さんにお願いしてガーズィ大学でもクラスを開いて頂きました。学科の4年生を対象としたフィールドコースになりましたが、渡邉さんが説明していることを学生は一字一句逃すまいと真剣そのものの目付きで授業を受けていたのが特に印象的でした。このクラスに参加した学生は、来年度は就職です。一人でも多くの卒業生がレストレーターとして文化財保存・修復センター等に就職出来ることを願っています。 当プロジェクトは、国際交流基金の助成、在トルコ日本大使館の全面的な支援で行うことが出来たものであり、両機関に対して厚くお礼を申し上げます。 (2016年10月14日)
■アナトリア高原は本格的な秋を迎えました
アナトリア高原は本格的な秋を迎えたところです。山々の稜線がくっきり見え始めるようになったこと、高原のいたるところで10月(トルコ語でエキム、播種を意味します)中旬からの播種の準備が始まったこと、村の中で冬の暖房に使う薪の準備が行われていること、そして紅葉が始まったことなどからも秋が本格化してきたことを読み取ることができます。空は澄み切っていますし、その中を鷲がゆっくりと青空を背景に空を切る姿は何とも言えないほど清々しさを感じます。それと夜の満天の星は見事と云う他ありません。(2016年10月11日)
■博物館学フィールドコース(2016年)終了
紙、本の修復・保存に関する博物館フィールドコースは、先週の金曜日に終了しました。今回のコースを行った背景には、トルコの博物館に数多くの古書が収蔵されているにも関わらず、その修復・保存に関しては手が回っていないという現状があります。受講者の多くは最近設立された地方の文化財保存・修復センターのレストレーター(修復家)で、ここ数年大学を卒業しセンターに就職した若手です。今回は15名が参加し、紙の保存・修復に関する基本について手作業を交えて五日間の授業を受け、土曜日の午前中にアナトリア考古学研究所を後にしました。受講者の多くは、出来れば来年度もフィードコースを是非開いて欲しいとの強い要望がありましたので、近々考古局とも来シーズンのプロジェクトの件で打ち合わせを行う予定です。 このプロジェクトは、国際交流基金の助成、在トルコ日本大使館の全面的な支援で行うことが出来たものであります。厚くお礼を申し上げます。(2016年10月8日)
■三笠宮記念庭園
三笠宮記念庭園は、4月1日〜8月30日までの入園者が6万人を超えたようです。さらにこれから少なくとも2万人の入園者があるのではないかと思います。今年中には8万人を超えるものと思います。トルコのどこの観光地も訪問者が減少している中で、なぜか三笠宮記念庭園だけは賑わい続けているのは本当に嬉しいことです。相乗効果と云うことでしょう、入園者の中から、カマン・カレホユック考古学博物館にもかなりの入館者があるようです。ここ数日の冷え込みでしょうか。庭園の木々の葉が少し赤みがかってきました。(2016年9月29日)
■博物館学フィールドコース(2016年)開始
9月26日、日本の国際交流基金、トルコの文化・観光省、アナトリア考古学研究所との共催で、「紙」、「本」の保存修復に関する博物館学フィールドコース(2016年)が始まりました。今回のコースでは、「紙」、「本」の保存修復専門家である渡邊万里子さんを招聘、授業を行ってもらっています。トルコの博物館には、オスマン・トルコ帝国時代の書物等多くの貴重な資料が保管されていますが、最近になりその修復、保存の関心が高まってきており、今回のコースを行うことになりました。トルコでは、2010年代に入り、イスタンブル、アンカラ、イズミル、ガーズィアンテップ、アンタルヤ、ディアルバクル、ネブシェヒル、トラブゾン等に保存・修復センターが設立され考古学資料を始めとする遺物、今回のフィールドコースのテーマの一つとなっている「紙」、「本」の保存、修復が盛んに行われるようになってきております。今回は各地域の保存・修復センターで活躍している若手の専門家15名を招聘してのコースで、9月30日まで行われる予定です。(2016年9月28日)
■ウスタ、カルファの研修
アナトリア考古学研究所の発掘調査の中心となっているのは、ウスタ(親方)、カルファ(親方助手)等です。彼らの多くは、研究所の発掘調査に少なくとも15年以上は参加しており、一年を通して遺物の整理、遺構図面の整理、遺物の実測、層序の整理等を行っています。9月17日(日)、ウスタ、カルファ、研究所の研究員は、ヒッタイト帝国時代の都市の一つで、4千枚以上の粘土板が出土しているオルタキョイ(古代名シャピヌワ)の研修に出掛けました。アナトリア考古学研究所のあるカマンのほぼ北東、直線距離にして約160キロにあるオルタキョイは、ヒッタイト帝国の都ボアズキョイの北東約65キロに位置しています。朝7時に出発、チョルム考古学博物館を見学した後、オルタキョイへ車を走らせましたが、チョルムからオルタキョイは55キロほどの距離ですが、道が未舗装部分もあり一時間半ほど時間がかかりました。オルタキョイでは、隊長のアイギュル・シュエル教授(アンカラ大学)が、我々を温かく迎えてくれました。そして、A、B、Cと名称を与え発掘している宮殿址、収蔵庫址、犠牲獣を捧げた場所等を丁寧に案内して下さいました。ウスタ、カルファもこのような遺跡は初めてと云うこともあり、教授の話しに興味津々耳を傾けていたのが印象的でした。キャンプでは、出土遺物、特に動物の頭部を模した注口部分を持つ土器、更には、神像等を作る鋳型を数多く見ることができ、オルタキョイが並の遺跡ではないことをしみじみと感じた次第です。オルタキョイを出たのが、既に5時半を回っており、研究所に到着したのは10時過ぎになりましたが、ウスタ、カルファは大いに刺激を受けたようですし、我々も出土遺物には目を見張ってしまいました。(2016年9月28日)
■「夏の学校」終了(2016年8月)
アナトリア考古学研究所、カマン・カレホユック考古学博物館と共同で行っていた『夏の学校』(7月23日開始)が8月25日に終了しました。最終日は、イゼット館長の短い講演等のあと、参加者全員に「終了証書」と記念品としてTシャツ、帽子が配られました。この学校は来シーズンも行う予定です。(2016年9月2日)
■アナトリア高原も実りの秋を迎えつつあります
7月下旬から8月初旬にかけて中央アナトリアも猛暑に見舞われましたが、8月10日過ぎになりますと、早朝の涼しさに秋の気配を感じさせられるようになりました。高原を見渡しますと、小麦の刈り入れはほとんど終了し何か広々とした感じがします。これからは向日葵の収穫の時期に入ります。アナトリア考古学研究所の庭にある梨の木も実もたわわ、来週には収穫の予定です。ここ数年春先の急激な寒さであまり実を結びませんでしたが今シーズンは大豊作と云うところでしょうか。それと葡萄も今年は大豊作のようです。これも近々収穫したいと思います。(2016年8月24日)
■『考古学教室』(2016年) 開始
カマン・カレホユック発掘調査では、毎週土曜日に作業に関わっているトルコ人、隊員に『考古学教室』を行っています。これを行うようになった大きなきっかけは、なぜ日本人がアナトリアの真ん中に位置している遺跡でわざわざ発掘を行っているのかがなかなか理解して貰えなかったことにあります。約一万キロも離れた日本からカマン・カレホユックまでやってきて、一体何が目的なのかを不可思議に思っているようです。教室と云っても発掘現場の頂上部にある休憩所を使って行いますが、ここでは毎週カマン・カレホユックの層序等を丁寧に解説するとともに器材の使い方等を実際に教えています。それらの授業が終わった後は、各発掘現場でウスタ(親方)と共に発掘している村の子供たちが解説するのが授業の一環としてありますが、これが彼らにとってはかなり大変なようです。解説するとなるとかなり現場を理解していないと出来ませんので当てられた子供たちは数日前からウスタから色々と教わりながら猛勉強をしている光景が見られます。発掘現場で説明が終わった子供たちはほっとした表情になっているのが印象的です。(2016年8月24日)
■ボアズキョイ、アラジャホユック遺跡研修
8月7日、カマン・カレホユック発掘調査に参加している主な隊員は、ヒッタイト帝国の都ボアズキョイ、そしてトルコ隊が盛んに調査をしているアラジャホユック遺跡の研修を行いました。どちらの遺跡でも隊員が説明役を務めましたが、説明役の隊員は一週間前からがっちりと両遺跡の報告書を読んでいたこともありなかなか良い解説をしてくれ、良い勉強になりました。(2016年8月23日)
■ハナの子犬
研究所のハナが先月お産をしました。六匹が順調に成長しています。お母さんのハナの後ろを子犬たちがついてまわっているのがなんとも云えないほど可愛いです。最初の頃は母親と一緒に庭園を走り回っていましたが、最近では色んなところを探検しているようです。子犬を欲しい人は数多ですが、可愛さのあまりなかなか手放せないでいます。(2016年8月23日)
■日本人会来所
岡浩駐トルコ特命全権大使ご夫妻をはじめアンカラ日本人会の29名が、8月6日(土)、午前11時過ぎにバスで来所しました。カマン・カレホユック遺跡の発掘現場、カマン・カレホユック考古学博物館、三笠宮記念庭園、アナトリア考古学研究所を見学、特に、カマン・カレホユックの遺跡では北区の最深部まで梯子を使って降り、現在盛んに発掘を行っている前期青銅器時代の火災層をご覧頂きました。午後4時過ぎに研究所をあとにしました。(2016年8月22日)
■「夏の学校」(2)(2016年8月)
夏の学校は、アナトリア考古学研究所とカマン・カレホユック考古学博物館が共同で土曜日と日曜日に毎週行っています。先々週には参加している子供たちがカマン・カレホユックの発掘調査に参加、発掘を初体験してきました。子供たちは発掘現場に入るなり、現場のウスタ(親方)の指示に従い、チャパ(ピッケルの一種)の使い方や、土器片はどのようなものかを丁寧に教わり、約一時間を楽しく過ごしていました。また、先週は、アナトリア考古学研究所の修復専門家エリチン・バシュ・ウスタの指導で土器の修復のトレーニングを受けました。この土器の修復には、カマンの町で売っている水瓶を使いました。最初にその水瓶を壊すところから行ない、次に修復に取り掛かりましたが、この授業は子供たちに大人気だったようです。来週は石膏で破損箇所を埋める作業、金属製品の処理について学ぶことになっています。(2016年8月12日)
■「夏の学校」が始まりました(2016年7月)
アナトリア考古学研究所とカマン・カレホユック考古学博物館の共催で研究所のあるチャウルカン村、カマンの町の小学生を対象とした『夏の学校』が、7月23日(土)から始まりました。第一回目は、考古学博物館で遺跡の模型を使っての授業やモザイク作りなどをして午前中を過ごしました。来週からはカマン・カレホユックの遺跡に子供たち全員を招待し、実際に発掘体験をしてもらうことになっていますし、研究所の修復室で土器の接合作業等も実際に行う予定です。この学校は8月中旬までの毎週、土、日曜日に開催されることになっています。(2016年7月27日)
■アナトリア考古学研究所『退職者の集い(2016年)』
アナトリア考古学研究所が行っている発掘現場で労働者として長期間勤め定年を迎えた村人は優に30名を超しました。今年も『退職者の集い』を、7月24日(土)に研究所で行いました。今年は15名が参加、いつもこの会にやってくるアフメット・ペフリヴァンさんは足腰が弱くなったとのこと、セイホ・オズトゥルクさんはアンカラの息子さんの所へ行っているとかで顔を見ることができませんでした。チャイ(トルコティー)と一緒に、コックのムスタファが焼いてくれたケーキを食べながら、村の情報、彼らの子供たちのことなど色々と話してくれました。退職者の中で昨年から今年にかけて欠けた者もなかったのが何よりでした。現在、年金は一ヶ月日本円で3万円から3万5千円ですが、村で生活をしている限りこの年金で十分とのこと。彼らの話しを聞いていると何か余裕すら感じてしまいます。普段は村のチャイハネ(トルコティー、コーヒーを飲みながらカードに興じたりする村の社交場)で仲間と話したり、畑仕事をしたりしているようです。来年も一人も欠けることなくこの集いが開かれることを願っています。(2016年7月26日)
■アナトリア高原は真夏に入りました
6月も下旬に入り、やっとアナトリア高原も真夏に入りました。日中の気温が30度を超す日々が続いています。研究所の庭にある黄色いサクランボ、サワーチェリー、杏が実も撓わ、数日前に収穫をしました。また、庭のバラも見事に開花しています。と同時に、昨年十月に播種した高原の小麦はすっかり黄金色になりました。刈り入れはもう少し先のようです。研究所の周辺の野花も週毎に、赤、紫、白、黄と色彩を次々変えるのには驚いてしまいます。それらの色彩が消えた時にはアナトリア高原も灼熱の真夏を迎えることになります。(2016年6月28日)
■第38回国際発掘・調査・考古科学シンポジウム
今年で38回目となるトルコ文化観光省主催の発掘、調査、考古化学シンポジウムがトルコの最西端の町エディルネのトラキヤ大学で5月23日から27日に渡って開催されました。トルコで考古学的調査をしているほとんどの人が参加する国際シンポジウムです。当研究所としては、カマン・カレホユック遺跡(大村幸弘)、ヤッスホユック遺跡(大村正子)、ビュクリュカレ遺跡(松村公仁)の発掘調査と、一般調査(大村幸弘)に関する発表を行いました。
エディルネに行くのは全員初めて。オスマン帝国の遺産が色濃く残る綺麗な町でした。世界遺産に指定されているセリミエモスクも学会の途中で見学出来たのが何よりでした。モスクは非常に綺麗に整備されており、最近のトルコ国内の緊迫した情勢にも関わらず多くの人が見学に訪れていたのが印象的でした。聞きなれない外国語を話している観光客を多く見かけましたが、ギリシャ、ブルガリアからの観光客ではないでしょうか。
エディルネには大きな川がゆったりと流れており、そのほとりのレストランで学会のレセプションが行われ、当地名物のレバーの唐揚げ等、これまでトルコの他の街では見られない食事が数多く出され、食事の途中でオイルレスリングのショーもあり、町、大学がこのシンポジウムにかなり力を入れていたことが感じられました。例年に比べて学会参加者が少なかったのが残念でした。
さて考古学調査の発表についてですが、前年のシンポジウムでも感じたことですが、考古学調査が多極化しているため、シンポジウムの発表も単なる研究発表ではなくなっているものが多数にのぼりました。そこでは遺跡の保存、修復、教育と観光のための遺跡公園化といった内容が含まれていました。遺跡保存についてはまだまだ理想的な形が見出されていないように思います。カマン・カレホユック遺跡ではいち早く屋根をかけて保存をしてきておりますが、これは次のシーズンまでの一時的な保存方法として行ってきたものです。しかし長期的な遺跡保存方法は未だ見つかっていません。今後も色々な試みが行われ、試行錯誤を繰り返していく必要があると思います。学会の発表を聞いていると、考古学と観光を結びつけようとする流れがあり、これには単純には頷けないところがあります。エフェスを始めとする遺跡は多くの観光客を集めていますが、それと同じことを他の遺跡にも期待されているのにはどうしても腑に落ちないところがあります。観光的価値と学術的価値は同じではありません。その辺に今後の課題があるのではないでしょうか。
今回の発表で個人的に興味深かったのがカヤルプナル遺跡の発掘調査です。昨年秋にドイツのミューラーカルペ、カヤルプナル調査隊長夫妻がカマンにお出でになり、その際にも聞いておりましたが、昨年の調査で、ヒッタイト帝国時代の文書庫を発見、約140点もの粘土板文書を発掘したとの報告がありました。前2千年紀の歴史を書き換えるだけの情報も含まれているようです。彼らは以前に調査をしたクシャックル遺跡でも文書庫を見つけており、うらやましい限りです。しかしこれは偶然の産物ではなく遺跡選定、発掘戦略等において研究者の姿勢に関わっていると思います。
もう一つ、これこそがシンポジウムならではと言えることがありました。それは泊まっていたホテルのロビーで我々が休んでいた時のことです。アンカラ大学教授のアーリエ先生が何人かの考古学者と一緒にホテルに戻って来られ、我々を見つけて一緒にお茶を飲んでいる際にいつの間にかワークショップになってしまったことです。その中の一人が学会のプレゼンテーション用のスライドを下に、しばし大討論会になりました。彼はバルックケシルの洞窟入口で岩壁画を見つけたとのこと。それが新石器時代のもので、チャタルフユックの壁画と共通点を持っているというのには驚きました。描かれている題材は人間の生誕と死という二つのテーマとのことで、そこに描かれているものはこれまで断片的にしか知られていなかった古代の死生観と深く結びついているように思います。彼を囲んで止めども無い議論が続きましたが、今後この岩壁画に関しては活発な論争がなされるのではないでしょうか?楽しみです。(松村)(2016年6月15日)
■トルコの卒業シーズン
5月はトルコの大学、専門学校の卒業シーズンです。三笠宮記念庭園は、毎日のように卒業式を終えた学生で賑わっています。それと小、中、高等学校もそろそろ授業が終わる時期と云うこともあるのでしょうか。バスを連ねて庭園を訪ねてきているようです。(2016年5月18日)
■花の苗床
春先に作った苗床の花の種が芽を出し、かなり大きくなりました。研究所の日当りの良い場所に置いていたこともあるのでしょうか。すくすく成長しています。先々週から外に置いてある鉢に移植が始まりました。中央アナトリアもここ数日降り続いた雨で濃い緑に包まれています。この雨が上がりますと、そろそろ初夏を迎えることになります。(2016年5月16日)
■トルコの学生の研修が始まる
4月25日から第8次ビュクリュカレ発掘調査が開始し、現在盛んに鉄器時代、前2千年紀のヒッタイトの文化層を掘り下げているところです。アナトリア考古学研究所の発掘調査には、トルコの大学の考古学科に在籍している学生が研修に入り始めています。この制度は、1988年以来行われているもので、例年10人から20人のトルコの学生を受け入れています。第8次発掘調査が開始されたと同時に、クルシェヒルのアーヒ・エヴラン大学の学生が、入って来ており早朝からの発掘調査に参加しています。研修とは云っても、参加している学生は発掘調査隊員と同じプログラムをこなさなければなりません。5時起床、夕方の6時にはミーティング等、彼らにとっては今までにはない経験のようです。(2016年5月14日)
■在トルコ日本国岡浩特命全権大使来所
5月6日、岡浩在トルコ日本国特命全権大使ご夫妻が、アナトリア考古学研究所を初めて来所。アンカラからカマンへ向かわれる途中で研究所が行っているビュクリュカレ遺跡の御視察。生憎の雨で遺跡には入ることが出来ず、クズルウルマック川に架かっている橋から濃い緑に包まれた遺跡を御覧頂く形となりました。その後、日本の外務省一般文化無償資金協力で建設されたカマン・カレホユック考古学博物館、三笠宮記念庭園、そしてアナトリア考古学研究所の施設の御視察をされました。研究所では、遺物の実測作業、撮影などを御覧頂きました。(2016年5月12日)
■ARIT-The American Research Institute in Turkey来所
4月30日(土)、ARITのエリフ・デネル所長一行が、アナトリア考古学研究所を訪問しました。これまでビュクリュカレ遺跡の発掘調査期間中にはいらしたことがなく、ぜひ現場見学をしたいとのことでこの時期の来所となりました。ビュクリュカレ遺跡の見学では、隊長の松村研究員の説明に耳を傾けながら、大型の遺構に魅入っているようでした。また、アッシリア商業植民地時代の城壁を間近で見学したいとの申し出があり、発掘中で足場の悪い中、城壁の近くまで歩み寄り、城壁の大きさを実感していました。
またアナトリアはこの時期一面が緑となり、とても美しい季節です。小麦畑が青々としています。当日は晴天にも恵まれたため遺跡からの景色はすばらしく、遺跡だけでなくこの景観を満喫していたのが印象的でした。
その後カマン・カレホユック考古学博物館ではこの度新しく展示されたヤッスホユック遺跡、ビュクリュカレ遺跡の遺物などを見学し、三笠宮記念庭園、研究所と見て回りましたが、それぞれ興味のあるところをゆっくりと見学してもらうことが出来たようです。(2016年5月2日)
■カマン・カレホユック考古学博物館の遺跡展示模型
今回のカマン・カレホユック考古学博物館の展示替えは、2009年以来アナトリア考古学研究所が発掘調査を行っているヤッスホユック、ビュクリュカレから出土した遺物の展示を目的としています。その中で両遺跡の模型作製も準備が進められています。実際の模型の作製には時間とかなりの費用ががかかるため、展示の専門家の永金宏文さんの発案でスタディ模型(設計内容を確認するために作る簡易模型のこと)を展示することになりました、模型は永金さんが図面を見ながら丹念に作成して下さっています。来館者には、この模型を見てもらいながら、現在発掘しているヤッスホユックの前期青銅器時代の宮殿址、ビュクリュカレのヒッタイト時代の大建築遺構のイメージを膨らませてもらえればと思います。(2016年4月26日)
■カマン・カレホユック考古学博物館の展示替え
カマン・カレホユック考古学博物館の展示替えが順調に進んでいます。展示の専門家である永金宏文さんが、このところ博物館内で夜遅くまで作業を行っています。今回の目的は、2009年以来アナトリア考古学研究所が発掘調査を行っているヤッスホユック、ビュクリュカレから出土した遺物を展示することです。主な遺物品は展示ケースに既に設置され、写真パネル作成等が残っているぐらいで、今月中には一応完了することになっています。展示ケース、パネル等の作成はアンカラの専門業者にお願いしていますが、永金さんは何度も制作現場に足を運んで下さっています。博物館はこれまでのイメージと大分変わり、ヤッスホユック、ビュクリュカレのコーナーもなかなか良い雰囲気になってきました。5月の中旬に予定されている「博物館週間」には、多くの来館者で賑わうものと思います。(2016年4月12日)
■「アナトリア考古学研究」XIX号発刊
アナトリア考古学研究所が刊行している「アナトリア考古学研究」のXIX号が発刊されました。今回は、ヤッスホユック遺跡の詳細な概報、ビュクリュカレ遺跡出土の粘土板、印影の文字資料が掲載されています。(2016年4月11日)
AAS XIX Contents
■三笠宮記念庭園は春爛漫です
4月に入りアナトリア高原も気温が上昇、一気に春を迎えました。アナトリア考古学研究所の周辺も3月の淡い緑から大分濃い緑に包まれてきています。3月下旬から続いていた三笠宮記念庭園の植樹、池のクリーニング等の作業も数日で終わりそうです。例年に較べますと庭園のソメイヨシノも異常に早く満開になり、それに合わせて庭園も大いに賑わっています。(2016年4月11日)