フィールドコース

フィールドコースは、考古学及び関連分野に興味を持つ学生、若手研究者を対象に、カマン・カレホユック発掘調査を基盤に、出土した遺物等を使って、研究の基礎知識、方法を指導する入門コース、さらにより研究を深めるためのアドバンスコース等、時々に応じて専門家によってアレンジされます。今までに、保存修復、植物考古学、動物考古学、形質人類学、古環境学、考古学等の分野で行なわれてきました。

■考古学フィールドコース 2011■

■第四回目考古学フィールドコース(2011年)

アナトリア考古学研究所主催の第四回目考古学フィールドコースは、上智大学、明治大学、そして弘前大学の学生が参加、9月12日(月)から24日(土)までの二週間で行われました。今回はフィールドとして、9月初旬に発掘調査を開始したヤッスホユック遺跡を使いましたが、参加者は連日隊員、トルコ人の作業員等とともに発掘調査を行いました。今回は、鉄器時代と前2千年紀初頭のものと思われる建築遺構の発掘を特に重点的に行いました。最初はトルコの作業員と意思疎通がなかなか出来ず苦しんでおりしたが、それも数日で解消、最終日まで元気一杯調査を継続できたのは何よりでした。

研究所では、ほぼ毎日のように遺物の実測、撮影、発掘調査日誌を付ける等かなりタイトな二週間を過ごしましたが、一人として体調を崩す者がなかったのは嬉しいことでした。「遺物研究」では、中期鉄器時代のアリシャル4と呼ばれる彩文土器をはじめとしてヤッスホユック出土の遺物を使いながらレポートをまとめる作業をし、最終日にその成果の発表を行いました。

「研修旅行」ではアナトリア考古学研究所の松村研究員とともにヒッタイト帝国の都ボアズキョイを訪ねましたが、ボアズキョイ発掘調査のアンドレアス隊長が前回同様案内して下さいました。24日(土)にフィールドコースの全行程を終了し25日(日)に無事キャンプを離れました。この第四回目をもって今シーズンのすべての考古学フィールドコースは終了しました。


考古学フィールドコース2011第四回 (1) 考古学フィールドコース2011第四回 (2) 考古学フィールドコース2011第四回 (3) 考古学フィールドコース2011第四回 (4)
クリックで拡大写真を表示します.

■第三回目考古学フィールドコース(2011年)

第三回目の考古学フィールドコースは、8月8日(月)〜20日(土)までの二週間にわたって行われました。第三回目には4名の学生が参加しました。前回同様、初日の午前中はアナトリア考古学の概論の授業、その後はカマン・カレホユック遺跡、カマン・カレホユック考古学博物館の見学、午後には遺跡で実際に発掘作業に入りました。

今回もフィールドコースの参加者は、別々の発掘区に入りトルコ人の作業員と一緒に調査を行いました。作業員の中には20年以上もカマン・カレホユック発掘調査に参加している者もあり、彼らからもフィールドコース参加者は色々と教わっていました。遺物研究では「鹿文付きの土器」、「フィブラ」、「鏃」等を使いながら研究を行い、最終日の土曜日に発表を行いました。また、遺跡見学として第一回目と同様、ヒッタイト帝国の都ボアズキョイを訪ねましたが、発掘調査隊長自ら現在発掘している場所を案内して頂きました。


考古学フィールドコース2011第三回 (1) 考古学フィールドコース2011第三回 (2) 考古学フィールドコース2011第三回 (3) 考古学フィールドコース2011第三回 (4)
クリックで拡大写真を表示します.

■第二回目考古学フィールドコース(2011年)

第二回目考古学フィールドコースは、JKAの助成のもと、7月25日(月)〜8月6日(土)にかけて行われました。今回のフィールドコースには、早稲田大学の荒井君、慶応大学の岡田さんの二人が参加、発掘調査隊と同じメニューで2週間を無事終了しました、初日には『アナトリア考古学概論』の授業、その後カマン・カレホユック遺跡に向かい遺跡の層序について松村研究員から直接授業を受けました。また、出土遺物の取り上げ方、出土遺物カード、日誌の記載等、発掘に必要な情報を大村正子研究員から教わり、翌日から発掘現場に入りました。

カマン・カレホユック遺跡の発掘現場では、20年以上発掘に関わっているトルコ人のウスタ(親方)を中心に発掘は進められており、その下にカルファ(親方補)、そしてその下にチラック(丁稚)がおり、コース参加者はそのグループの一員となり作業を行いました。二人とも南区に入り、鉄器時代の建築遺構の発掘を行いました。フィールドコース期間中に研修旅行として、日帰りでカッパドキア、ハジュベクタシュを訪ねました。


考古学フィールドコース2011第二回 (1) 考古学フィールドコース2011第二回 (2) 考古学フィールドコース2011第二回 (3) 考古学フィールドコース2011第二回 (4)
クリックで拡大写真を表示します.

■第一回目考古学フィールドコース(2011年)

考古学フィールドコース(2011年)は、今シーズン、アナトリア考古学研究所で4回行われることになっており、第一回目は7月7日に開始し、7月22日までの二週間行われました。フィールドコース参加者(第一回目は3名)は、日本の大学生が中心で、アナトリア考古学研究所の研究員が講師を務め、毎日早朝6時からの発掘作業に参加し、発掘の仕方、レベルの読み方、建築遺構の実測等基本的なことを学ぶところから始めました。各参加者には夫々遺物が手渡れ、毎晩遅くまで『遺物研究』を行っていたこともあり大分遅くまで勉強をしていました。16日の土曜日には、世界遺産でもあるヒッタイト帝国の都、ボアズキョイへの研修旅行も行いました。


考古学フィールドコース2011第一回 (1) 考古学フィールドコース2011第一回 (2) 考古学フィールドコース2011第一回 (3) 考古学フィールドコース2011第一回 (4)
クリックで拡大写真を表示します.

■植物考古学フィールドコース(2011年)

アナトリア考古学研究所では、植物考古学フィールドコース(2011年)を7月10日〜16日までの一週間行いました。講師には、ここ十年カマン・カレホユック遺跡出土の植物遺存体の研究を続けているオーストラリアのクイーンズランド大学の専任講師-Dr.Andrew Fairbairnを招き、カマン・カレホユック、ヤッスホユック、ビュクリュカレ遺跡から出土した種子を実体顕微鏡を使いながらの同定、植物遺存体から当時の環境復元等について授業を行って頂きました。受講者はトルコ、オーストラリア、イギリスの大学で考古学を学んでいる学生7名が参加。授業は早朝6時から午後の5時まで行われましたが、授業の合間には遺跡周辺で野生種の小麦の採集等も行う等、標本作りも行っていたのが印象的でした。

また、フィールドコースが行われている中日に無土器新石器時代のアッシュクルホユック、新石器時代のチャタルフユックの2遺跡の見学も行いました。


植物考古学フィールドコース2011 (1) 植物考古学フィールドコース2011 (2) 植物考古学フィールドコース2011 (3) 植物考古学フィールドコース2011 (4)
クリックで拡大写真を表示します.

■動物考古学フィールドコース(2011年)

アナトリア考古学研究所では、7月16日〜20日の5日間に渡って動物考古学に関するフィールドコースを行いました。このコースは1993年から数年おきに行って来ております。今回もアメリカのネヴァダ大学のDr.Levent Aticiが講師を務め、コースにはトルコ、アメリカ、オーストラリア、ポーランド、イギリスの大学、大学院生9名が受講しました。資料としてはカマン・カレホユック、ヤッスホユック、ビュクリュカレ遺跡から出土した獣骨を使いながら授業が行われました。トルコの大学では獣骨に関しての授業が行われていないこともあり、これからの分野ということが出来ます。2013年にもこのフィールドコースを開催することになっております。


動物考古学フィールドコース2011 (1) 動物考古学フィールドコース2011 (2) 動物考古学フィールドコース2011 (3) 動物考古学フィールドコース2011 (4)
クリックで拡大写真を表示します.